14年間バレーボールを経験・佐藤梨那アナ 荒木絵里香と考える部活動の“勝利至上主義”
日テレNEWS NNN
ここ数年、バレーボール強豪校での体罰が相次いで発覚しています。春高バレーの優勝校では、監督が生徒を怒鳴りながら平手打ちの暴行をして解任に。全国大会常連校では、生徒の髪をわしづかみにするなどの暴行の容疑で顧問が逮捕される事態も。その体罰や行き過ぎた指導の背景にあると考えられるのが、勝つことを一番の目標にする“勝利至上主義”です。 【画像】荒木絵里香が考える体罰問題「これはスポーツじゃない」 両親・恩師の言葉で気づいたスポーツの本質
小学校から大学までの14年間バレーボールに打ち込んでいた私、日本テレビアナウンサーの佐藤梨那も、小学生の時に“勝ち”にこだわるチームでプレーをしてきました。
スポーツ競技の中で“勝利を目指す”ことは技術向上などにもつながる大切な要素ですが、クラブチームや部活動において子供たちに「“勝つことが最優先”の指導をすることは正しいのか」。バレーボールが、子供たちにとって面白さや楽しさを感じ続けられる競技になるために、どのような取り組みが必要なのかを考えていきます。 今回、日本代表として4大会連続で五輪に出場し、2012年のロンドン大会で銅メダル獲得に貢献した荒木絵里香さん(39)にインタビュー。“勝利至上主義”のあり方、いま指導者に何が求められているのか、お話を聞きました。
■ 勝利至上主義…「厳しいや苦しいを、はき違えてはいけない」
小学4年生の終わりに身長が170センチあり、母の勧めでバレーボールを始めたという荒木さん。しかし最初に入ったのは、理不尽な指導や暴力があるチームでした。「これはスポーツではない」という両親の助言で、そのチームをやめバレーボールから距離を置いた時期もあったといいますが、高校は選手の自主性を重視する指導方針の下北沢成徳に入学。インターハイ・国体・春高バレー優勝の3冠を経験しました。 ◇◇◇◇ 佐藤:荒木さんがどのように考えるかなと思ってお聞きしたかったのが、小学生、中学生で“勝つため”の指導をしてしまうと、高校でいきなり自主性を求められるのは、なかなか難しいところもあると思うんです。“勝利至上主義”は「まだ小学生、中学生なのに」と思うところもあるんですけど、どう思われますか。 荒木:「勝つ」ということに対して、今いろいろな競技で問題になっているじゃないですか。日本一を小学生で決めない競技もあったりして。でも勝つ喜びも、もちろんあるじゃないですか。そこはすごく難しいところだなと思います。 勝つために体罰は必要なのか、体罰してまで勝たなきゃいけないのか。厳しいとか苦しいを、はき違えてはいけないと思うんですよね。頑張り方のはき違えってすごくあるなと思っていて。勝つことが、やっぱり子供時代、学生時代の目標だし、勝つとうれしいし、でも、それ以上に大事なことはたくさんあると思うので、そこをはき違えないように。 海外の話を聞くと勝利を求めていなくて、選手をどう育成できるかを大事にしている。トップのカテゴリーでなくても、そういったシステムが作られているのを見ると、日本は勝利至上主義で、今が大事(という指導方針が多い)。「ここで勝たないと」が一概に悪いとは言わないけど、「じゃあその先に何があるか」というところまで考えていけたらいいのかなと思いますね。