「がんと診断されたらいちばん最初にしてほしいこと」免疫の専門医が語る「実は意外な」ポイント
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65.5%、女性51.2%。ともにほぼ2人に1人です*1。いっぽう、がんで死亡する確率は、男性26.2%、つまり4人に1人。女性に至っては17.7%、6人に1人*2。がんは「必ずしも死の宣告ではない」病気になりました。 【画像】私は生涯に何%がんに罹患する? 「がんかもしれないと感じたときからぜひ、漢方も使ってほしい」と語るのは、外科医・免疫研究者・漢方医のトリプルメジャー医である新見正則医院 院長の新見正則先生。いま漢方を語る理由を聞きました。
漢方はがん細胞を直接は退治しないが、免疫にアプローチして治療を助けることができる
「医学が発達し、がんはすでに『死の宣告』ではなくなりました。仕事をつづけながら『共存していく病』になったのですが、それでもがんの診断を受けると皆さん大きなショックを受け、ご自身に残された時間のことを考えます。医師からすれば、たとえば脳卒中や心筋梗塞などのハイリスク群のほうがよほど近々に命にかかわるのですが、やはり日本人にとってがんは特別な病気なのです」 そう語る新見先生は、外科医としてキャリアをスタートし、さまざまな部位の悪性腫瘍と対峙してきました。女性の場合、30代から40代にかけて乳がん、子宮がん、卵巣がんなど女性がんの罹患が急増します。みなさんの周囲にも何人かの罹患者が思い当たるのではないでしょうか。いっぽうの男性では50代から60代にかけて、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓膵臓などが増えていきます。 「どんながんでもまずは標準医療に則って治療を進めてほしいのですが、その補完医療として、すべてのがんに漢方が有用であることはあまり語られていません。ぼくはキャリアの最初で外科医として悪性腫瘍と戦い、なぜ人はこうした疾患になるのかを知るため免疫の研究に転じて、ついには免疫機構を元気に保つ漢方の専門家へと至りました。こんなにいいものがあるのだから、日本人はもっと活用してほしいと思うのです」
がんの疑いがあると言われたその日から漢方を飲み始めてほしい
「がんだと診断されるとまず心が萎えます。心の元気を保つために、ぼくは48番、十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)をお勧めします。気力体力が益すため、がんに対する免疫力がつくからです」 その他、気力と体力の回復には、人参と黄耆を含む「参耆剤」に相当する補中益気湯、人参養栄湯、加味帰脾湯がよいそうです。 また、抗がん剤の投与がはじまったあと、筋肉が攣縮するような痛みが出る場合は芍薬甘草湯がよく効きます。よく足がつったときに頓服で飲む漢方ですね。攣縮とはあしがつった時のイメージで、攣縮に有効な西洋薬はないので、筋肉がキューと痛む時には芍薬甘草湯を試してほしいと新見先生。 がん性疼痛は冷えによって悪化し、入浴で楽になります。なのですが、西洋薬で体を温める効果があるものはほとんどありません。ですから漢方薬で温めてがん性疼痛が楽になることは少なからずあります。気力と体力をつける参耆剤に附子という体を温める生薬を加えることが多いです。参耆剤の代表は補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯で、それらに附子を加えたものを使っています。