並びを重視した打順の組み方と初戦らしい強硬策。第4回WBCから7年を経て、大舞台でらしさを見せた小久保監督<SLUGGER>
監督、小久保裕紀の大舞台での采配を見るのは2017年のWBC以来となる。侍ジャパンを率いて3位になった時だ。そして、試合後の囲み取材もあの時以来だ。 その小久保監督が率いるソフトバンクは10月26日、DeNAとの日本シリーズ第1戦に勝利した。最後はあわや逆転の窮地に陥ったが、何とか白星を挙げた。 「最後は勝ち切ればいいんですよ。2-0やったらまた違う展開だったでしょうし、あんまり(今日のオスナのピッチングは)比較にならないですよ。試合を通しては比較的落ち着いてできました」 時に関西弁が入り混じる語り口も基本的に素直で、本音を口にする振る舞いも、小久保監督らしかった。侍ジャパンのときも、どんな質問にも極力、懇切丁寧に、それも本音で答える姿勢には感服さえしたものだ。メディアへの対応はプロフェッショナルそのものものである。 当然、小久保監督をリスペクトできるのはそうした姿勢だけではない。采配面、特に攻撃についての考え方は実に理路整然としている。 そんな小久保監督が第1戦でらしさを見せたのは大きく2つあった。 一つ目は打順だ。 DH制がなかったこの日、足の怪我もあって守備につけない近藤健介はスタメン落ち。その中で組んだのは1番・柳田悠岐、2番・周東右京、3番・今宮健太、4番・山川穂高、5番・栗原陵矢という今季は見たことない並びだった。 特に、柳田が故障して離脱して以降、3番が定位置だった栗原を5番に置き、代わりに今宮健太が3番というのは意外だった。 ただ、打順にはさまざまな考え方はある。1番~9番まですべてに役割を持たせて哲学のようにキレイな並びを作る監督もいれば、数字通りの順番を重視するのではなく、誰の後に誰を置くかという「並び」を重視する指揮官もいるのだ 思えばWBCのときの、小久保監督は並びを重視するフシあった。 相手の継投がやりやすくなるのを覚悟して、当時はメジャーリーガーだった青木宣親と、筒香嘉智を並べてみたり、あるいは坂本勇人と山田哲人、秋山翔吾を下位打線で並べてチャンスを広げる役を担わせたりもした。 ソフトバンクではコーチの提案を重視して決めているというが、選手の見極めを含めて、小久保の監督の打順に関する考え方は非常に興味深い。この日の打順についてはこう振り返っている。 「打順に迷いはなかったですね。栗原を山川の後ろに置こうと決めた。CSで今宮の状態が良かったので3番にしたというのもあります。山川も良くてずっと調子がいいので、4~5番に得点圏を作っていくことを考えての打順です。1点が欲しい時に今宮が送ることもできる。だから、並び的にはいつも通りなんですよね。周東→今宮って1、2番でやっていて、それが、2~3番になっただけなんです」
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