シルバニアにファミリア 大人が夢中になる子供ブランドの戦略【WBSクロス】
WBSクロス、今回のテーマは「子供ブランドの戦略」です。子供向けのブランドは少子化という課題を抱える中、どのように成長していくのか。各社の戦略を取材しました。 人形の「シルバニアファミリー」は1985年に誕生。動物をモチーフとした人形で、ごっこ遊びなどで楽しむことができます。ターゲットは3歳以上の子供ですが、今、大人の間で人気になっています。シルバニアファミリーのメーカー「エポック社」によれば、大人が日常生活にシルバニアファミリーを取り入れることで癒やしを求めているといいます。 「出かけるときなど、ちょっとした時間でシルバニアファミリーを愛でたい人、その人々を中心にSNSでたくさん写真が投稿されるようになった」(「エポック社」ブランディング推進室の前美里マネージャー) SNSから興味を持った大人がシルバニア活動、略して“シル活”という現象を起こしているのです。 「『シル活』というワードがハッシュタグで使われて、ファンの皆さんが手と手を取り合って横でつながっていくことで、より大きなムーブメントが起きているのではないか。キダルト層の流入により、昨対国内は150%ほどの売り上げの伸びになっている」(前マネージャー) キダルトとは、子供心を持ち続ける大人を指す「キッズ」と「アダルト」を組み合わせた造語です。おもちゃ業界には少子化という課題がありますが、こうしたキダルト層が需要を支え、昨年度、おもちゃの市場規模は初めて1兆円を超えました。
“卒業しない”子供服ブランド
大人も虜になる子供ブランド。この流れはアパレル業界にもあります。皇室が利用したことでも知られる高級子供服の「ファミリア」。上質な作りとかわいらしいデザインで多くの人に支持されています。そのファミリアが大人向けに新たな戦略を打ち出したのです。 今年3月、大阪の駅ビルに新店舗をオープンしました。この店舗で売っているのは、バックや文房具、スマホケースなど、子供服は一つもありません。大人をメインターゲットした、子供服を取り扱わない新業態の店舗です。 こうした大人雑貨へ注力した背景には、子供服ブランドならではの課題があります。 「子供服は子供の成長とともにサイズアウトしてしまうもの。卒業しないブランドになるところを目指して、年齢を問わず子供から大人まで家族のライフスタイルをトータルコーディネートできるように、ライフスタイル雑貨に取り組んでいる」(「ファミリア」営業部の佐々木あかりさん) こうした商品はどのようにして生まれるのでしょうか。この日、ファミリアの本社では企画会議が開かれていました。新商品として、大人向けのランチアイテムを検討しています。 「デザインもアート一面よりもワンポイントの方が大人も使いやすい」(佐々木さん) 「子供向けでベージュはあまり作らないので、大人のベージュはおしゃれな感じで持てる」(「ファミリア」商品部リーダーの中道陽香さん)