レッドブルがJ2昇格大宮アルディージャに翼を授けるのか 次の目標は?
【レッドブル買収に選手たちの反応は?】 大宮アルディージャという名称は、「残す」と明言した。 「ローカルコミュニティ、ファン・サポーターのみなさん、そしてこれまでいろいろな方が携わって、この大宮アルディージャというチームが作り上げられてきました。そういったアイデンティティ、みなさんの想い、ローカルコミュニティのみなさんとのつながり、これまでの歴史といったものをすべてリスペクトしながら、やはり大宮アルディージャという名前は残したいと私たちは思っています」 この日のメディア対応でRBが示したのは、アルディージャへの限りなきリスペクトだ。ゴメス氏は質問を受けるたびに、「みなさんとしっかりとコミュニケーションを取りながら、日本の文化、習慣、日本人の在り方というものをしっかりと理解しながら、ともに進んでいきたい」と繰り返した。強引な手法は取らない、一方的な判断は下さないとのメッセージを、何度も発信した。 原強化部長の思いが、率直でわかりやすい。 「最初は正直、どうなんだろうと思うところもありました。実際は本当に真摯に、細かく、丁寧にやってくれています。すぐに動くというよりは、まず現状を把握して持ち帰って、どうしたらいいのかを考えて、一緒にやっていく、という感じですね」 トップチームの選手たちは、RBの動きを冷静に受け止めている。キャプテンの石川は、落ち着いた口調で思いを明かす。 「僕たちは目の前の試合に集中して、シーズンの最後まで戦い抜く。何かを考えるのは、終わってからでいいのかな、と。今シーズンの最後まで目の前の練習、目の前の試合に集中して、自分たちがやるべきことを突き詰めてやっていくだけです」 J2昇格の立役者である元日本代表FW杉本健勇も、レベルアップに意識を傾注している。新会社が設立した10月1日に「俺らのところで急に何か変わるというのは、まだないと思う。今はリーグ戦に集中するだけで、そこはクラブも考えてくれているはず」と話した31歳は、J2復帰を決めた直後にこう話している。
「今年はリーグ戦で2敗しかしていなくて、それはホントにすばらしいことだけど、J2、J1となった時にどうなるかはわからないですよね。まだまだ足りないところもいっぱいあると思う。それは俺もそうですし、チームとしてもそう。そこを見据えて、日々の基準をもっともっと上げていきたいですね」 11月24日のJ3リーグ最終節まで、チームはこれまでどおりに結果を追求していく。並行してクラブは、継続すべきところと変えるべきところを、一つひとつ検証していく。 新しい翼を広げて、力強く、たくましく飛躍していくために──。
戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei