なぜバレた…年収300万円の48歳サラリーマンが青ざめた、税務署からの「1本の電話」【税理士の助言】
「お尋ね」に無回答でもペナルティはないが…
税務署がこの「お尋ね」で確認したいポイントは、「その資金が適正に申告されたものであるかどうか」という点です。 たとえば、毎年の所得状況よりも大きな買い物である場合は「収入の申告漏れ」がないか、専業主婦で収入がないはずなのに不動産を購入した場合、「誰かからの贈与」があったかどうか確認します。 この「お尋ね」に回答しなかったといっても、特にペナルティはありません。しかし無回答の場合、「なにか回答できない理由でもあるのだろうか」と不審がられ、税務調査の対象に選ばれてしまうことがあります。 Aさんの父が亡くなったとき、相続財産は自宅と預金のみでしたが、預金は4,000万円ほどありました。 Aさんは、「このまま4,000万円を寝かせておくよりも、不動産投資で家賃収入を得たほうが、自分の老後にゆとりが持てるかもしれない」と考え、自己資金の1,000万円を加え、自宅近くの賃貸アパートを購入しました。 購入後しばらくして税務署からの「お尋ね」文書が届いていましたが、むやみに自分の情報を晒すのも気が引けたAさんは、それほど重要度も高くないだろうと、無回答のまま放置しておいたのでした。 しかし、「お尋ね」に無回答で事なきを得たとしても、家賃収入を得ているにもかかわらず「確定申告」を怠り無申告であった場合には、深刻なペナルティが課せられます。
確定申告を怠った場合の「深刻なペナルティ」
Aさんのように、家賃収入があるにも関わらず、確定申告を行わなかった場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか? この場合、まず無申告だった不動産所得について、所得税や住民税等が発生します。ここに、きちんと確定申告をしていればかからなかったはずの「無申告加算税」が発生します。 この無申告加算税は15%~20%ですが、悪質であると判断された場合には40%の「重加算税」が課されることもあります。さらに、本来払う時期から遅れて支払うことにより、年2.4%~8.7%の「延滞税」がかかります。 「いやいや、家賃収入があるとはいえ大金ではないし、目立たないようにやっていれば税務署にバレることはないのでは?」と考える人もいるかもしれません。 しかし、税務署にとって、無申告者の摘発は重点項目です。自主的に適正納税している他の納税者に対して不公平となるため、厳格に対応しています。 無申告の場合、賃借人が法人であれば年に1度提出する「法定調書」で明らかになるほか、不動産業者に管理などを依頼している場合、その不動産業者に調査が入ることもあります。 また、羽振りのよさを不審に思った人物からの“タレコミ”などから発覚する場合もあります。 このように、さまざまなルートから無申告は明らかになってしまいます。無申告のままでいるよりも、バレた場合の重いペナルティを考えると、適正な確定申告を行ったほうがよいでしょう。 税務署の「お尋ね」には正直に回答を 不動産購入など、大きな金額が動く場合などは、税務署からの「お尋ね」が届く場合があります。今回見てきたように、これをスルーしていると税務調査の対象となり、所得税や贈与税などの申告漏れを指摘されかねません。 また、賃貸物件の経営という場合、適正な帳簿記帳をし、青色申告で確定申告を行えば、税務署のためだけというだけでなく、自身の経営に役立ちます。 建物の大規模修繕などで銀行からの借入が必要になった場合にも、所得税の確定申告などの税務書類は必須書類となるため、「黙っていればバレないだろう」といった安易な考えはもたず、正直に申告することをおすすめします。 宮路 幸人 多賀谷会計事務所 税理士/CFP
宮路 幸人
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