債券市場、年内の米利下げ2回の確信強める-タカ派気味FRBと乖離
(ブルームバーグ): 債券トレーダーは利下げに賭ける投資を再開し、米連邦準備制度からの抵抗に直面しても確信は揺らがなかった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は12日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を2001年以来の高水準の5.25-5.5%に据え置くことを決定し、FOMC参加者のドットプロット(金利予測分布図)では、年内の利下げが従来より少ない0.25ポイント1回だけとの想定が示された。
FOMCは金利据え置き、24年利下げ予想1回に減少-来年は4回
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は会合後の記者会見で、ギアチェンジを急がず、インフレとの闘いが正しい方向に進んでいると裏付ける証拠が増えるまで待つというメッセージを堅持した。
しかし、午前中に発表された5月の消費者物価指数(CPI)は、トレーダーが待ち望んでいた数字を既に出していた。変動の激しい食料品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は前年同月比3.4%と過去3年余りで最も低い伸びにとどまった。
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先物トレーダーは今年の利下げが2回との見方を強め、最初の利下げが9月にも行われる可能性が再び意識された。
米国の2年国債利回りは一時17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)急低下し、4.67%を付けた。S&P500種株価指数は一時1.3%上昇した。パウエル議長のタカ派気味の発言は、連邦準備制度が動きが取れなくなることを避けたいシグナルと受け止められ、重要視されなかった。
シタデル・セキュリティーズの金利トレーディングのグローバル責任者マイケル・ドパス氏は「パウエル議長が選択の余地を残したいと考えているのは明らかだ。インフレ率が予想を下回ったことを受け、より公平な印象を与え、炎上を招かないよう確実を期したいと思ったのだろう」と指摘した。
もちろん市場はここ数年、連邦準備制度の方向転換が近いと期待して何度も早まって飛び付き、従来の方針が維持されると手痛いリセットを余儀なくされた。