パリオリンピック初戦でプレータイムを与えられなかったアメリカ代表のジェイソン・テイタム「謙虚になれる経験だった」
「競技者としてプレーしたいけど、僕は自分自身のためだけにこの場にいない」
男子アメリカ代表はパリオリンピックの1次リーグ第2戦で南スーダンに103-86で勝利し、上位8チームによる決勝トーナメント進出を決めた。この試合、アメリカ代表は初戦のセルビア戦で出場時間なしに終わったジェイソン・テイタムが先発出場し、17分10秒のプレータイムで4得点5リバウンド2アシストを記録している。 26歳のテイタムは昨シーズンにセルティックスを優勝に導き、これから全盛期を迎えることもあって、次代のNBAを背負う看板選手の1人と評されている。それだけにいくらタレント揃いのアメリカ代表でも、彼が初戦で起用されなかったことは大きな反響を呼んだ。アメリカの指揮官スティーブ・カーは、セルビア戦の試合後に「40分間で10人より多い選手を使うのは難しい。ケビン(デュラント)が故障から復帰し、最も妥当だと思う組み合わせで選手起用を行った」と、テイタムを外したのは論理的な判断だったと語った。 実際にテイタムを押し出す形で出場機会を得たデュラントがベンチから傑出したパフォーマンスを見せたことで、カーの選択が正しかったことは証明された。それでも指揮官は『ESPN』の取材に対し「(テイタム外しは)自分が愚か者のように感じた」と葛藤があったことも明かしていた。 2試合目にしてようやくパリ五輪のコートに立ったテイタムは、セルビア戦について「珍しい状況だったね」と振り返りつつ、チームファーストの姿勢を強調した。「競技者としてプレーしたいけど、僕は自分自身のためだけにこの場にいない。そして、今日の試合に勝った。再びプレーすることができてうれしいよ。ここ数日、いろいろな噂が流れていたからね」 前述の通り、昨シーズンのテイタムはキャリア初のNBAチャンピオンに輝くなど、個人としても最も充実した1年を過ごした。この右肩上がりの状況で、セルビア戦は冷や水をかけられたような状況となったが、本人は次のように語り、終わったこととして前だけを見つめている。「チャンピオンシップを勝ち取り、(総額で約470億円の)新しい契約を結んだ。(人気ビデオゲーム)NBA2K25やスポーツイラストレイテッドの表紙にもなった。この状況で、(セルビア戦は)間違いないなく謙虚になる経験だった」 南スーダン戦のテイタムはスタッツが示すように本領発揮とはならなかった。アメリカはすでに決勝トーナメント進出を決めているだけに、グループリーグ最終戦のプエルトリコ戦は主力を温存するか、プレータイムを抑える可能性が高いだろう。テイタムとしては、次の試合で調子を取り戻したいところだ。
バスケット・カウント編集部