3浪で東京藝大に合格。家庭環境の変化で「音楽を諦めた」彼女に訪れた“運命の出会い”
■第1志望校に合格したものの…? 3浪の末に、ついに念願の合格を掴んだ石橋さん。 しかし、受かってからは「逆に現実に戻ってしまった」そうで、この先の学生生活に不安を感じていました。 「両親は号泣して喜んでくれましたが、私はこの先(の大学生活は)試練しかないなと、我に返りました。自衛隊をやめて受けた同い年の男の子もほかの音大に進みましたし、最終の3次試験で会った6人は今でもみんな友達なのですが、(例年は)3~4人受かると聞いていたのにこの年は2人しか合格が出なくて。藝大では同期と助け合いながら4年間を過ごさないといけないと聞いていたので、どういう学生生活になるんだろうと不安でした」
実際に、大学に入ってからの石橋さんはずっと競争の中で練習を重ねました。自分と戦い続けた藝大の4年間を、「苦行だった」とも振り返ります。 「3浪目がいちばん楽しかった」と語る石橋さんに、浪人してよかったことを聞いたところ、「人と違う世界を見たことで、自分の感性や、やりたいことがはっきり見えたこと」、頑張れた理由については「音楽が好きだったから」と語ってくれました。 「自分だけの世界で物事を進めても、狭い範囲でしか物事を知ることができません。自分から違う世界に飛び込んで、いろんな人にアドバイスをもらえたことで、違う世界に目を向けたら、いろんな扉があるんだと気づけました」
藝大を卒業してからの石橋さんは、フリーランスの打楽器奏者として、約20年間、全国のオーケストラで客演をしながら、毎年さまざまな学校で自身の原点でもある吹奏楽部の指導を行っています。 ■ずっと音楽は続けたい そして、コロナ禍になってからは、演奏をより多くの人に聴いてもらうためにYouTubeチャンネルもはじめました。 「フリーランスなので、1つひとつの仕事を命懸けでやらないといけないと思っています。オーケストラは、団員だけでは演奏できない曲がほとんどです。例えば5人で演奏する場合は、外部から2人呼ぶ、といったケースもあるのですが、そこに呼んでいただいています。