いまどきのコンプリ時計は個性で勝負! 超絶技巧と美が詰まっています
季節に、コーディネートに、シーンに合った時計をモテる目線で、女性目線で、時にオタク目線でピックアップ! 今回は、超絶技巧を美しく表現した実力派コンプリをご紹介します。 WATCH WATCHER
超絶技巧が詰まったコンプリ
これだけ技術が成熟すると、〝ただの複雑時計〟では勝負にならない。大切なのは、その技術をどのように表現するかです。 例えばグランドセイコーの『Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン』は、2022年のデビュー時はブラックモデルのみでしたが、今年ホワイトモデルが登場。実は、初めから〝光と影〟をイメージして製作されており、満を持して今年の二本目の登場と相成りました。 またルイ モネの『ブラック ムーン』は、時計の定番機構であるムーンフェイズの表示方法にこだわり、なんと稀少な月の隕石をふたつも採用し、ムーンディスクを製作しています。 どちらの時計も、まずは「美しい……」とため息が漏れるでしょう。それが、いまコンプリに求められる個性なのです。
◆ グランドセイコー/静かに流れる時間をこの時計と過ごしたい
重力の影響を打ち消すトゥールビヨンとエネルギー伝達を一定にするコンスタントフォースというふたつの機構を同軸上に並べた世界初の時計。 独特の作動音は、生物の鼓動のようにも聞こえる。薄明るい光に包まれた美しい空をイメージし、全体を白いトーンに。
時計全体を白のトーンで統一するために、ムーブメントの可動部分に使われる「穴石」を、赤いルビーではなくブルーのサファイアに。シルバーのパーツに、きれいになじませました。
◆ ルイ モネ/本物の素材で美しく宇宙を表現
クロノグラフ機構を発明したといわれるフランスの偉大な時計師の名を冠したブランドで、創業は2004年。 専門家と協力して世界中から隕石を集め、時計に取り入れるのが特徴で、ダイヤル中央で回転するふたつのムーンディスク(満月と新月)を、2種類の月の隕石で製作。キラキラ光るダイヤルはアベンチュリン素材。
ムーンフェイズをテーマにした新作がもうひとモデル。3時のインデックスに使われるのは、アポロ11号の司令船の表面に使われた耐熱フィルム。 2024年9月号より ※掲載商品はすべて税込み価格です
文/篠田哲生 編集/鈴木賢二、津坂泰輔(ともにLEON)