「中間管理職を減らしたい」企業の盲点 リストラで起こる、3つのリスクに備えよ
こんにちは。パロアルトインサイトCEOの石角友愛です。本日は多くの企業で起きている中間管理職削減の動きについてご紹介し、今後の動きを考察したいと思います。 【画像】中間管理職の削減することのリスクとは? 先日、米Amazon.comが効率的な経営とコスト最適化を図る目的で管理職を1万4000人削減する計画であることをBusiness Insiderが報じました。 もともと、一部のベテラン社員の間ではここ数年、こうした動きを予想する声があったといいます。なぜなら、ビッグテックとして年々成長し、巨大な組織となったAmazonでは、延々と熟考を重ね、不必要な会議を開き、社内の承認手続きにいくつもの階層がある状況が常態化してしまっていたからです。 実際、Bloombergの報道によると、AmazonのジャシーCEOはこうした状況について、自身のメモの中で「決定を下すための複数の会議、そのための事前会議、さらにその事前会議のための事前会議。幹部の人数も増え、彼らは案件を前に進める前に自分たちが中身を見直す必要があるように思っている。決定が別の場所で行われることから、発案者は自らが提案する必要はないと感じている」と指摘しています。今回の管理職の削減により、組織のフラット化と迅速な意思決定が期待されていることが分かるでしょう。 モルガン・スタンレーの試算によれば、この削減によりAmazonは年間36億ドルの財務効果を得ると推定されています。これは人件費の削減や業務効率の向上によるものと考えられています。なお、同社は過去にも人員削減や組織改革を行っており、今回の管理職削減はその一環と見られています。 このような動きは、実は米国に限らず、日本の企業でも起きていることです。他の大企業の事例と他の大企業の事例と「中間管理職の削減」による盲点とその対策についても解説します。 Meta 米Metaもまた、組織の効率化と意思決定の迅速化を目指し、大規模な管理職削減を進めています(参照:Business Insider「メタ、アマゾンが推し進める組織のフラット化。大手テック企業の中間管理職が続々と淘汰されるかもしれない理由」)。 実際、CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は従業員に対し、2023年を「効率の年」と位置付け、リソースの最適化に焦点を当てると表明。経営コストの削減に加え、よりフラットな組織構造を実現するために戦略的に取り組むことをメッセージとして発信しました。 特に中間管理職を削減し、役割を最小化することで業務プロセスの簡素化と意思決定のスピード向上を目指すとしており、実際に大規模なレイオフが行われました。こうした動きは、同社が過去に実施したリモートワーク制度の変更などの柔軟な労働環境改革とも連動しており、Metaが継続的に全社的な経営効率の改善を試みていることが分かります。 Alphabet 2023年の話ですが、米Google(親会社:Alphabet)は全従業員の約6%に相当する約1万2000人の人員削減を発表しました(参照:CNBC「Google to lay off 12,000 people ── read the memo CEO Sundar Pichai sent to staff」)。 この動きは、経済状況の変化や広告市場の不振、コスト削減圧力に対応するためだと言われています。この時も中間管理職を中心に削減され、組織のスリム化を図りました。管理層を減らすことで、意思決定を迅速化し、よりフラットな組織を目指す取り組みが進められました。 資生堂 日本企業では、資生堂が今年、経営効率化と持続的な成長を目指し、国内で1500人の早期退職者を募集したことが話題になりました(参照:日本経済新聞「資生堂、国内で早期退職1500人募集 社員の1割強に相当」)。 この募集は、国内事業を手掛ける子会社の資生堂ジャパンで45歳以上かつ勤続20年以上の社員が対象となり、年齢に応じた加算金を通常の退職金に上乗せするほか、希望者には再就職の支援サービスも提供するという条件で行われました。同社が大規模な早期退職者を募ったのは、1000人規模で募集した2005年以来の出来事です。