なぜ日韓戦で右膝を大ケガした宮市亮は一度は脳裏に浮かんだ引退を撤回して4度目手術を決断したのか?
以来、普通にプレーできる日々に宮市は感謝の思いを抱くようになった。プロサッカー選手でいられるだけで幸せだというポジティブな思考回路で、2018年4月の右膝前十字靱帯損傷、そして2020年6月の内転筋損傷も乗り越えてきた。 昨夏に加入したマリノスでも、同じマインドを脈打たせてきた。昨シーズンこそコンディションがなかなか整わなかったが、今シーズンは15試合に出場。Jリーグ初ゴールを含めて3得点をマークし、アシストも3つ記録している。 スピードを生かした突破が見初められ、約10年ものブランクを乗り越えて手繰り寄せた代表復帰を、宮市は万感の思いを込めながらこう語っていた。 「自分一人ではここまで来れなかった。マリノスに帰ってきてからメディカルスタッフの方に尽力していただいて怪我なくシーズンを送れているし、出場機会も昨年と比べて増えてきて、リズムが出てきたという面でも怪我をしにくくなってきている」 だからこそ韓国戦で再び痛めた右膝が、宮市に与えたショックの大きさは想像に難くない。それでも自身に再び前を向かせてくれたメッセージの数々に、インスタグラムで「爆泣きしています」と感謝した宮市は、さらにこんな思いも綴っている。 「そして、その(這いあがっていく)過程で少しでも誰かのためになるのなら、今回は復帰までの道のりをたくさん公開していきたいと思っています。ラストチャンスと思って、そういう覚悟で頑張りたいです。(中略)この涙が喜びに変わる日が来るよう頑張りたいと思います!まずは手術頑張りたいと思います!」 怪我続きだった自身のキャリアを、宮市は「誇れることではないし、むしろ恥ずかしいぐらい」と位置づけていた。それでも復帰を果たした代表で見せるプレーを、怪我に苦しんでいるすべてのアスリートへ向けたエールに変えたいと意気込んでいた。 「あきらめなければ、リハビリに取り組んでいる時間が報われるときが必ず来る。そういった方たちを勇気づけられるようなプレーをしていきたい」 E-1選手権では3つのキャップを上積みした。香港戦と韓国戦で途中出場し、中国との第2戦では先発に名を連ねた。ゴールやアシストは記録していないが、怪我を負ったシーンを含めて、常に全身全霊で日本のためにプレーする姿を見せ続けた。