45人死傷の植松死刑囚が色紙いっぱいに描いた作品 死刑囚15人の心境や性格を垣間見る表現展
死刑囚は何を考えているのか。どんな性格なのか。それらを垣間見る機会になるかもしれない。15人の死刑確定者の絵画などを展示する「死刑囚表現展 2024」が11月2~4日、東京都中央区の松本治一郎記念会館で開かれる。2016年に相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人を殺傷した植松聖死刑囚(34)も出展している。(共同通信編集委員=竹田昌弘) 【写真】死刑囚「じゃあね…」薬物を投与される直前の言葉 刑務所長は涙あふれそうに
▽「大麻」「福祉制度」などと題する色紙9点 主催団体によると、表現展は2005年から毎年開催し、今年は20回目となる。入場無料で、今回は死刑確定者15人の応募作計426点を展示する。中には、ペンネームの死刑囚もいる。 植松死刑囚は2020年から毎年応募している。過去には多くの顔がある観音像のような人物画や頭蓋骨を爆発させた絵もあった。やまゆり園の事件をテーマに描いた絵の応募を巡り、収容先の東京拘置所側ともめたことから、昨年は黒の文字を色紙いっぱいに書いたものになったという。 今年も昨年と同様の色紙が9点。今回は黒い文字の上から赤や青などの色を付けている。「大麻」「福祉制度」などのタイトルが付けられた色紙では、私見を展開している。「大麻の薬効」「生産性がない」「優生思想」といった言葉が記され、裁判で「(大麻は)本当にすばらしい」「意思疎通できない人間は安楽死させるべきだ」などと主張したときから心境の変化は全くうかがえない。
▽異なる拘置所在監の兄弟死刑囚が共同制作 2004年に福岡県大牟田市で母子ら4人が殺害された事件の井上孝紘死刑囚(40)=旧姓北村=は「ペーパーファッション・タトゥー」と題する作品を出展する。「説明書」通りにすれば、体に転写できる般若などの絵を送ってきた。主催団体で試すと、確かに転写された。「南総里見八犬伝 八犬士犬飼権八信道と唐獅子」などは、昨年の表現展を訪れた人がアンケート用紙でリクエストしたのに応えた絵という。 福岡拘置所に在監されている井上死刑囚が線で表現した「筋絵」を描き、同じ事件で死刑が確定し、大阪拘置所に収容されている実兄の北村孝死刑囚(43)が色を入れた「Maria」も展示される。面会を許されている人が筋絵を受け取り、それを孝死刑囚に差し入れたことで実現したようだ。裁判では、孝紘死刑囚が罪を認める一方、孝死刑囚は無罪を主張。審理は一審から分離され、拘置所も異なる兄弟の共同制作は初めてだという。