45人死傷の植松死刑囚が色紙いっぱいに描いた作品 死刑囚15人の心境や性格を垣間見る表現展
西口宗宏死刑囚(63)の「日日是〝辛〟日(真実)・合掌」には、亡霊に苦しみ、頭を抱える男と合わせた手が描かれている。西口死刑囚は、2011年に堺市で元象印マホービン副社長ら2人がそれぞれ殺害された2件の強盗殺人事件で、19年に死刑が確定した。確定前は表現展の常連だったが、確定後は作品が途絶え、今年の5点は久しぶりの応募となった。 ▽再審請求中の2人、「原爆画」や鳥の絵 熊本県免田町(現あさぎり町)で1979年、女性が殺害された事件で死刑が確定したが、無実を訴えて再審請求中の金川一死刑囚(74)は逮捕から45年間、獄中で過ごしてきた。今年の「広島原爆画」には、赤いキノコ雲とともに、黒い文字で「平和世界 へいわなせかいでありますように」などと書かれている。 同様に冤罪を主張し、再審を請求している風間博子死刑囚(67)は、1993年の埼玉の愛犬家ら連続殺人事件で死刑が確定した。絵画3作の一つ「命 弍〇弍四の壱」は、選考委員のアーティスト、小田原のどかさんが「(鳥は)何かを参考にして描いているわけではたぶんなくて、ご自分の記憶の中を探りながら描いているのだと思うんですけれど、元々ものすごく描写力がある」と評したという。
「東西南北」というペンネームの死刑囚は、方眼紙に描いた動物などの絵を初めて応募してきた。300点を超えるレポート用紙の応募作が展示される山田浩二死刑囚(54)は、大阪府寝屋川市で2015年に起きた中学1年男女殺害事件で死刑が確定した。「僕から山田広志についての報告『広志へ…。』」と題する絵では、喪服を着た男性が遺影を抱えている。この遺影は、山田死刑囚と養子縁組をした後、昨年12月に膵臓がんにより49歳で亡くなった山田広志元死刑囚(旧姓松井)という。 ▽主催は「大道寺幸子・赤堀政夫基金」 死刑囚表現展は、1974年の連続企業爆破事件で死刑が確定した大道寺将司元死刑囚(2017年に病死)の母幸子さん(2004年に死去)が残した資産で創設された基金の主催でスタートした。1954年に静岡県島田市で幼女が殺害された事件で死刑を宣告されたものの、再審で無罪となった赤堀政夫さん(今年2月に死去)からも2014年に資金の提供があり、現在の主催は「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金」となっている。 今年の開催日時は11月2日(土)午後1~5時半、3日(日)午前11時~午後7時、4日(月)午前11時~午後5時。東京都中央区入船1-7-1、松本治一郎記念会館の5階会議室が会場となっている。問い合わせは、共催の「死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90」(電話03-3585-2331、港合同法律事務所)まで。