鈴鹿央士“左右馬”&味方良介“端崎”の友情に胸熱…正反対な2人の親友の定義とは?『嘘解きレトリック』第8話考察レビュー
左右馬(鈴鹿央士)と端崎(味方良介)の関係性
「信じる気持ちを、汚さないでください」 寸借詐欺を仕掛けてきた女性に言い放った鹿乃子の言葉は、彼女の心の叫びだったのだろう。嘘を見抜く能力がある鹿乃子は、「この人は嘘をついていない」と分かるから、相手を心の底から信じることができる。でも、左右馬や端崎、そしてわたしたちは、相手のことを信じたいと願うことしかできない。その人の言葉を聞き、自分が感じたことを正解にしていくしかないのだ。 個人的に、左右馬と端崎の友情が胸にグッとくることが多い。相手の裏の裏まで見抜くの左右馬と、まっすぐに相手の言っていることを信じてしまう端崎は、正反対なタイプだ。しかし、左右馬は端崎のそんなところが好きなのだろう。「あいつは、どうしてこうもすぐに信じてしまうのかねぇ」とバカにしながら、“そういうところがいいんだけどな”と思っているように見えた。 また、端崎が「左右馬が傷つく不安を抱かなくてもいい。そんな友人になりたいのです」と言っていた場面も、「最高かよ...」となった。「親友とは?」と聞かれるたびに、「いろいろな定義があるから答えられない...」と 思ってきたけれど、裏切られるかもしれない不安を抱かなくてもいい、相手の言っていることを100%信じることができる。左右馬と端崎を見ていると、そんな関係性こそが“親友”なのかもしれないと思わされた。
心から信じられる左右馬の言葉
端崎は、嘘が分かる能力はない。それでも、相手のことを信じて、お金を貸した。どれだけ、心がピュアなのだろう...。そして、端崎と一緒にそのご婦人のことを信じようとした鹿乃子も素敵だし、「一緒に信じようとしてくれる人がいたということが、うれしかったはずですよ」と言ったときの左右馬の優しい表情に心を奪われた。 「君という人がいてくれて、僕は幸せ者ですね」 この左右馬の台詞は...鹿乃子への遠回しのプロポーズだろうか。そして、「もし嘘が聞こえなくなったとしても、わたしは助手として先生に見合う人間でありたい」と言っていた鹿乃子には、「もう、なってるはずだよ...」と声をかけたくなる。もし、鹿乃子から嘘の能力が消える日が来たとしても、きっと左右馬の言葉は心から信じることができるはずだ。左右馬と端崎のように。左右馬と鹿乃子も、素敵な関係になっていってくれたらうれしい。 (文・菜本かな)
菜本かな