鈴鹿央士“左右馬”&味方良介“端崎”の友情に胸熱…正反対な2人の親友の定義とは?『嘘解きレトリック』第8話考察レビュー
鈴鹿央士&松本穂香がW主演を務めるドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)が放送中。本作は、借金まみれの貧乏探偵とウソを聞き分ける能力者の異色コンビによる、レトロモダン路地裏探偵活劇。今回は、第8話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】左右馬と端崎の関係に胸が熱くなる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ 『嘘解きレトリック』劇中カット一覧
鹿乃子(松本穂香)の「嘘が聞こえる」能力がなくなった…?
「嘘が聞こえるわたしには、想像することしかできません。信じた言葉が嘘だったとき、どれほど傷つくのか」 『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)第8話。鹿乃子(松本穂香)が一瞬、「嘘が聞こえる能力がなくなってしまったかもしれない」と不安になった場面があった。これまで鹿乃子は、嘘が聞こえる能力のせいで、周囲から煙たがられ、嫌な思いをたくさんしてきたはずだ。 それに、「もしも、嘘が聞こえる能力が手に入るなら欲しいですか?」と聞かれたら、「欲しいです」と答える人の方が少ない気がする。少なくとも、わたしは「いらない」と答えると思う。だって、悪意にまみれた嘘に気づいてしまうのもしんどいし、他人が自分のためについてくれた優しい嘘はそのままにしておきたい。 しかし、鹿乃子は、嘘が聞こえなくなってしまったかもしれないことを、「怖い」と言っていた。「このなかの、どれかが嘘だったら怖い。嘘が聞こえない人は、何を信じてどうやって判断するの?」と。
「信じて飛び込んでみなきゃ、始まらない」
左右馬(鈴鹿央士)は、鹿乃子に「どうして、わたしが嘘を言っているんじゃないかって考えないんですか? 先生は嘘を聞こえないのに」と聞かれたとき、「聞こえないからじゃない?」と答えていた。たしかに、嘘が聞こえないわたしたちは、相手が言った言葉を嘘か真か判断することはできない。 「信じるか信じないかの基準はなに?」と聞かれたら、「信じたいと思うかどうかじゃないかな」と答えると思う。たとえば、寸借詐欺が流行っていると警戒されているなかで、端崎(味方良介)は「財布をスリに盗まれて、汽車に乗れなくなってしまったんです。片道分の電車賃を貸してもらえませんか?」と言ってきたご婦人に、電車賃を貸してあげた。左右馬が言うように、これは明らかな寸借詐欺の手口だ。 しかし、端崎はすぐに他人のことを信じてしまう。嘘を聞き分ける能力を持っている鹿乃子にとっては、そんな端崎のことが不思議で仕方がないのだろう。そもそも、嘘が聞こえない人間は、他人が言っている言葉の一つひとつを疑ってかかったりしない。寸借詐欺まがいのことを言われた端崎のようなパターンを除けば、だいたいのことはまず信じてみる…という人が多いと思う。 それは、左右馬が言うように、「信じて飛び込んでみなきゃ、始まらない」から。たとえば、「汽車賃を貸してくださいませんか? 遠くに住む母が危篤なんです。お金は必ず、お返ししますから」と女性に寸借詐欺を仕掛けられた鹿乃子も、嘘の音が聞こえなければ、彼女にお金を貸していたかもしれない。でも、鹿乃子は「あなた、嘘をついているから」と、彼女の嘘を見抜いてしまった。