内田有紀「血や骨や肉、すべて演じた女性に染み込ませなきゃ向き合いきれなかった」助演女優賞を受賞で
2024年10月28日、都内で「東京ドラマアウォード 2024」の授賞式が開催された。NHKで放送された連続ドラマ『燕は戻ってこない』での演技が評価され、俳優の石橋静河が主演女優賞、同ドラマより内田有紀が助演女優賞を受賞した。本ドラマは連続ドラマ部門で優秀賞を獲得しており、3冠となった。(取材・撮影・文 田中景子) 【写真】深呼吸する内田、草なぎ剛と談笑する若葉竜也など、会場の写真 * * * * * * * ◆3冠獲得となった『燕は戻ってこない』 『燕は戻ってこない』は代理出産をテーマとした桐野夏生さんによる小説が原作。石橋は、お金も夢もない29歳の派遣社員・大石理紀を演じた。 理紀はワーキングプアの状態にあるため、元トップバレエダンサーで自らの遺伝子を継ぐ子どもを望む草桶基(稲垣吾郎)と、不妊治療を諦めた妻・草桶悠子(内田)夫婦と代理出産の契約を結ぶ。報酬は1000万円。 揺れ動く登場人物たちの心情と生殖医療の光と影を描き、話題を集めた。 トロフィーを持った石橋は「このような賞をいただきまして、うれしく思っています」とほほ笑み、「今回私は大石理紀という、貧困や社会格差に苦しむ女性を演じました。この作品の中では、大石理紀を“かわいそうな人”という小さな枠に収めない描き方をしていて、私はそれがすごく好きでした。この原作を書いてくださった桐野夏生さん、体が思わず動いてしまうような脚本を書いてくださった長田育恵さん、スタッフ、キャストのみなさん、素晴らしい方々に感謝しています。最後に、この企画を立ち上げから最後まで引っ張ってくれた板垣麻衣子プロデューサーに感謝を申し上げます」とスピーチした。
◆読むのと演じるのは随分違って… 助演女優賞となった内田は登壇すると「この空気を1回吸いたい」といい、壇上で目を閉じて大きな深呼吸。 「このような素敵な賞をいただけて本当にうれしく思っています。助演女優賞という言葉の重みを感じております」と感慨深く話した。 「主演の石橋静河ちゃんをはじめ、みなさん一丸となって、代理出産をテーマとしてつくったドラマ。血や骨や肉、すべて演じた女性に染み込ませなきゃ向き合いきれなかった作品だと思う。桐野さんの原作は、どのキャラクターも人として美化せずに、感情をむき出しにそのままを書いた非常にリアリティのある物語。ですので、読むのと演じるのは随分違って、最初は不安に思ったり悩んだりしました」と苦労と吐露。