ハニーズはオフィスカジュアル最強ブランド? 独自の最適化ノウハウ
「ハニーズ」は、「高感度・高品質・リーズナブルプライス」をコンセプトに商品を展開していることで支持を得ているアパレルブランドだ。オフィスカジュアルに最適だとXで話題になったが、以前の主力商品は若年層向けの商品だった。数年でがらりと変わった商品展開。ターゲットの拡大に成功したポイントは何か。 【関連画像】オフィスカジュアルやきれいめカジュアルアイテムをそろえる「GLACIER(グラシア)」は木村文乃、ヤングカジュアルアイテムをそろえる「C・O・L・Z・A(コルザ)」は原菜乃華を起用。ブランドイメージに差を付けている 2024年5月下旬、X(旧Twitter)でアパレルブランドに関する議論が巻き起こった。そこで話題になったのが、ハニーズホールディングスの運営するアパレルブランド「Honeys(ハニーズ)」だ。 「ハニーズは、手に取りやすい価格帯のオフィスカジュアルを展開しているアパレルブランドの中で、特に高品質な商品がそろっている」という旨のポストが数多く投稿されたのだ。 ハニーズホールディングス取締役常務執行役員商品本部長の大内典子氏は「我々もXでハニーズが話題になる様子を見守っていた。ぶれない姿勢で品質にこだわってきたのがお客様に伝わっていたのだと思う」と胸を張る。 今回オフィスカジュアルが話題になったが、実は17~18年ごろまで、ハニーズの主力商品は若年層向けの商品だった。そのため、大内氏は「まだハニーズが若い世代のみに向けたブランドだと思っている人も多いだろう」と話す。 ハニーズは、これまでどのような変化をしてきたのか。 ●時代の変化に適応する方法 ハニーズ全体としての現在のターゲット層は10~60代と幅広い。その中には3つのブランドがあり、ヤングカジュアルアイテムをそろえる「C・O・L・Z・A(コルザ)」が15~30歳、オフィスカジュアルやきれいめカジュアルアイテムをそろえる「GLACIER(グラシア)」が25~45歳、ベーシックなアイテムをそろえる「CINEMA CLUB(シネマクラブ)」が全世代をターゲットにしている。 大内氏によると「元々は若い世代向けの商品に力を入れていた。例えば、10年前の14年の売り上げに占める割合は、コルザが40%、グラシアが20%、シネマクラブが40%だった」。 「その後、若い世代向けの商品より、徐々に大人向けの商品の方が売れるようになり、構成比が17~18年ごろに逆転。24年現在、コルザが31%、グラシアが36%、シネマクラブが33%だ」と大内氏は明かす。 「この変化には、近年10~20代の人口が減り、30~40代の人口が増えていることが影響していると考えている」(大内氏)。売れ行きに合わせてブランドの構成比を変えていたら、自然と人口ピラミッドに合うようになったとのことだ。 大内氏は「人口が減っても10代のことはもちろん大切にしていきたい。同時に、まだハニーズが若い世代のみに向けたブランドだと思っている30~40代の人にも今のハニーズを知ってもらいたい」と話す。 ●若年層と大人を分けてアプローチ 現在は、この数年で拡大した20~40代と、元々強みがあった若年層のそれぞれにアプローチする戦略を進めている。 まずはブランドイメージを明確化。24年4月から、グラシアとシネマクラブのイメージモデルに俳優の木村文乃を起用。一方、コルザのイメージモデルには、23年4月から同じく俳優の原菜乃華を起用していて、ターゲット層の明確な違いを示している。 さらに、SNS運用も若年層向けと大人向けに二分化している。 ハニーズ販売促進室係長の米山結氏によると「Instagramのアカウントは元々1つしかなかったが、23年11月からアカウントを2つに増やした」。元々のアカウントのフォロワーは20代後半~40代のフォロワーが多かったのに対して、新しいアカウントは10~20代の若年層をターゲットに設定し、アカウント運用を開始したのだ。 米山氏は「新しいアカウントでは、今のところ想定通りにターゲット層を獲得できている」と手応えを語る。 若年層向けのアカウントを運営するに当たって気をつけていることは、他の同世代向けアカウントのデザインを参考にすることと、“ショート動画”に力を入れること。ショート動画は、ユーザーが自らスワイプしなくても、少ない時間で簡潔に情報を得ることができることがポイントだと言う。 元々あるアカウントでは、モデルが服を着用しない“置き撮り”の投稿が多く、幅広い世代が共感しやすい投稿をしている。複数枚の画像をユーザーが横にスワイプすることで情報を得られる“マガジン風”の投稿を基本として、参考になるコーディネートを提案し、フォロワーは24年7月時点で50万人以上に上る。 米山氏は、「時代に応じてアップデートしつつ、今いるお客様も大切にしたい」と語る。