優れたチームプレーヤーであることを示したピアストリ。終盤戦は“自由の身”、僚友に勝てる実力を再び証明する時間に
マクラーレンF1のオスカー・ピアストリは、おそらくF1第21戦サンパウロGPの終わりに祝うべき何かがあった、唯一のマクラーレンのメンバーだった。インテルラゴスでのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の圧倒的な勝利と、レース前半に2番手を走っていたランド・ノリスが6位に終わったことで、フェルスタッペンの4年連続のタイトル獲得が事実上確定した。マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、レース終了後にそのことを認め、1998年以来となるコンストラクターズタイトル獲得にチームが全力を注ぐことを誓った。 【写真】2024年F1第21戦サンパウロGPスプリント 優勝したマクラーレンのランド・ノリスと2位のオスカー・ピアストリ サンパウロでは、ピアストリがスプリントとメインレースの両方で完璧なセカンドドライバーの役割を果たした。土曜日、ポールポジションからスプリントレースをリードしていたピアストリは、残り3周を切った時点で優勝を手放した。それは、立ち往生したニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)のマシンを回収するためにバーチャルセーフティカーが導入されるわずか数秒前のことだった。 翌日、雨のコンディションのなかでノリスがジョージ・ラッセル(メルセデス)と首位争いをしていたとき、ピアストリは25周にわたってリアム・ローソン(RB)の後ろで足止めされ、彼を抜いて接触するまで貴重な時間を失っていた。その時までにノリスは20秒以上先行していたものの、コラピントの激しいクラッシュの後に赤旗が出たことで、2台のマクラーレンは2回目のグリッドで互いに近づいた。 ふたたびノリスはチームメイトとシャルル・ルクレール(フェラーリ)を引き離したが、セーフティカー導入後の43周目の途中でコースアウトし、順位をふたつ落としてピアストリの後ろについた。ピアストリはルクレールを追い抜くことができなかったため、3周後にノリスを先行させるよう指示され、ノリスは6番手に浮上してさらに2ポイントを獲得した。メインレースで6位を失ったことの方が、スプリントレースで優勝を失ったことより痛手が小さかったのは確かだが、どちらの場合もピアストリはやるべきことをやり、優れたチームプレーヤーであることを示した。 このことは将来必ず大きな助けとなるだろう。ノリスが助けを必要としていた時に彼のサポート役を務めたピアストリは、立場が逆転した時、おそらく2025年には対価を受け取ることができる強い立場にいるだろう。そしてマクラーレンは、今やコンストラクターズタイトル獲得に全力を注いでおり、2位のフェラーリに36ポイント差をつけている。ピアストリは今年の終わりまで自由の身となるので、彼には記録を正し、同等のマシンでノリスに勝てることをふたたび証明する時間がまだ残されている。 コース上でポジションを譲ってチームメイトを助けることを進んで受け入れるドライバーはいない。そうしたドライバーのなかには、たとえ数レースであっても、そのような役割を受け入れた途端にチーム内での地位が永久に低下してしまうことを理解した者もいる。ピアストリのマネージャーであるマーク・ウエーバーは、セバスチャン・ベッテルのチームメイトだった5シーズンにおける厳しい経験を通じてその教訓を学んでおり、若いピアストリにも同じ信念を持たせようと必死だった。 ノリスがドライバーズタイトル獲得の現実的な候補者ではなくなったため、ピアストリはシーズン最後の3回のグランプリで自由にできる。そしてもちろん、来年は両者とも同等の立場でスタートすることになる。来年のマシンは主に今シーズンのシャシーをベースに作られるが、トップチームのなかではメルセデスだけがプロジェクトに大幅な変更を加えようとしている、しかしマクラーレンは、あらゆるタイプのコースで依然として高い競争力を発揮できるマシンを持つことが予想されるので、ピアストリとノリスの両名は2025年に強力なタイトル候補になる可能性が高い。 [オートスポーツweb 2024年11月16日]