「ソニーの異端児」呼ばわりも…「PlayStationの生みの親」が、プロジェクト始動時からずっと主張し続けたこと【勤続46年・元ソニー社員が解説】
プロジェクトを始める際、まずはキックオフ・ミーティングを行ないます。ここではプロジェクトマネージャーがメンバーにプロジェクトの目的やチームの役割、スケジュールの確認などをしていきます。大ヒットゲーム機「PlayStation」を世に送り出した当時のプロジェクトマネージャーが、キックオフ・ミーティングから伝え続けたこととは? 小山透氏の著書『常勝! プロジェクトを成功に導くマネジメントの定石 立ちはだかる壁を乗り越えるプロジェクト成功の鍵とは』(ごきげんビジネス出版 ブランディング)よりみていきましょう。 【肩書別】大卒サラリーマンの給与推移…役職なし/係長/課長/部長<令和4年賃金構造基本統計調査>
「キックオフ・ミーティング」で最高のスタートダッシュをする方法
プロジェクトがスタートしたことを、プロジェクト関係者(ステークホルダー)にどうやって伝えればよいでしょうか。 プロジェクトのキックオフとは、プロジェクトを公式に始動させることであり、立ち上げ時の早い段階で「プロジェクト・キックオフ・ミーティング」を開催します。ステークホルダーを招集し、プロジェクト・マネジャーがプロジェクトの目的や目標などの重要事項、チームの役割や作業分担、およびメンバー紹介などを行ないます。プロジェクトの目標を達成するために、メンバーと使命感や一体感を共有し、同じ目標に向かって突き進むためのチームづくりの場です。 プロジェクトはさまざまな組織からメンバーが招集されます。プロジェクトの生産性を上げるうえで、チームビルディングは不可欠な要素となります。チームビルディングとはメンバーの能力や経験を最大限に引き出し、高いパフォーマンスを上げるチームをつくることです。キックオフはチームビルディングの第一歩といえるでしょう。 プロジェクト・マネジャーは、これからスタートするプロジェクトの概要を説明します。説明する項目は次のとおりです。 ●プロジェクト発足の背景 ●プロジェクトの目的や目標 ●開発製品の概要 ●プロジェクトの概略スケジュール ●プロジェクトの概略予算 ●プロジェクト体制 ●制約条件や前提条件 など プロジェクトの多くは、スタート時にスコープが明確になっていなかったり、要員の確保が整っていなかったり、スケジュールが確定していなかったりします。このような場合、プロジェクト・マネジャーは、ついキックオフ・ミーティングの開催を見送りたくなりますが、開催を省いてはいけません。プロジェクト関係者が一堂に会して、プロジェクトに期待される情報を共有することで、参画意識が高まるでしょう。また、プロジェクト・マネジャーは自分自身の意気込みや決意表明を行なうことで指導力を発揮できます。 プロジェクト・マネジャーはキックオフ・ミーティングにおいて、これから開発する製品の市場ニーズや製品概要などを説明します。このときに、その製品に託した自分の夢を語りましょう。