「ソニーの異端児」呼ばわりも…「PlayStationの生みの親」が、プロジェクト始動時からずっと主張し続けたこと【勤続46年・元ソニー社員が解説】
プロジェクトには明確・妥当な「目的」が必要不可欠
PlayStationの生みの親である久夛良木健氏(元株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長)は、「これからは、デジタル技術の時代がくる」と主張していました。当時はまだ「アナログ時代」であり、デジタル技術を主張する久夛氏は「ソニーの異端児」として扱われていたのです。その後、技術はアナログ時代からデジタル時代へと急激に加速し、「大人もゲーム機で遊びたい」とデジタル技術を駆使した高精細なテレビゲームの夢が叶えられました。一方で、プロジェクトの「目的」を見失う場面が見受けられます。「目標」は「目的」を達成するための手段です。あなたのプロジェクトは、目標が目的になっていませんか。 「夢の超特急!リニア中央新幹線プロジェクト」※の目的を考えてみましょう。一般的な目的は、次とされています。「現在の東海道新幹線は、1954年の開業以来50年以上が経過し、将来的に大規模修理が必要となります。しかし、新幹線の営業時間は、午前6時から深夜24時なので、保守時間は深夜24時から午前6時の間しかなく、大規模修理は困難です。そのために、リニア中央新幹線を新規に建設します」とされています。 ※超電導リニアによって東京・大阪間を結ぶ新たな新幹線「リニア中央新幹線」の整備が進むものの、静岡県から着工を認められず、JR東海はリニア中央新幹線の2027年の開業を断念した。 しかし、この目的だと目標に疑問がわいてきます。リニア中央新幹線でなくても、従来の新幹線をもうひとつつくればよいのではないでしょうか。現時点では、リニア中央新幹線をつくることが目的になってしまっているようにも見えてしまいます。 小山 透 プロジェクトマネジメント・エバンジェリスト ※本記事は『常勝! プロジェクトを成功に導くマネジメントの定石 立ちはだかる壁を乗り越えるプロジェクト成功の鍵とは』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。