LISA・Tylaが語る、世界を熱狂させるグローバル・アイコンの素顔
BLACKPINKのメンバーで、シンガー&ラッパーのLISAと、「Water」のバイラル・ヒットで一躍トップアーティストの仲間入りを果たした南アフリカ出身のシンガー、タイラ(Tyla)がローリングストーン誌の名物企画「Musicians on Musicians」に降臨。好きな食べ物や手に入れた名声、自国文化の発信者としての使命などについて語った。 【写真ギャラリー】同誌に掲載されたリサ&タイラの写真 2024年初頭、偶然にも同じ時期にロサンゼルスを訪れていたタイラとリサの空き時間が重なった。振り返ってみると、それは運命といってもいいくらい完璧なタイミングだった。タイラはデビューアルバム『TYLA』(2024年3月22日リリース)のリリースに向けて準備をしていたところで、リサは曲づくりのためにプロデューサー兼ソングライターのSammy Sosoとスタジオに入っていた。Sammy Sosoといえば、タイラとLISAの両方と仕事をした経験をもつ人気音楽プロデューサーだ。その人が来ているということで、タイラがスタジオにいるLISAを訪れ、デビューアルバムを最初から最後まで聴いてもらった。「どんな反応が返ってくるのか、全然わかりませんでした」と、タイラは初めてLISAに会ったときのことを振り返る。「でも、LISAはとっても優しくて、最高にキュートな人だと思いました」 それから数カ月後の7月初旬の某日、ふたりのグローバル・アイコンが本誌の撮影のためにロサンゼルスのヘンソン・レコーディング・スタジオに集結した(撮影中のBGMは、ビヨンセの楽曲や90年代のR&B)。顔を合わせるのは久しぶりだが、ふたりはいまも連絡を取り合っているという。撮影がはじまると、互いを褒め合いながら、カメラの前でそれぞれの魅力を最大限に発揮していく。タイラがセクシーな眼差しでカメラを覗きこむのを見て、LISAが「ワオ!」と叫んだ。ワインレッドのレザートレンチコートを羽織ったLISAの番が来ると、今度は「最高!」とタイラが声をあげた。 タイラとLISAには多くの共通点がある。そのひとつは、ふたりとも一躍スターダムを駆け上がり、グローバルスターとしての名声を勝ち取ったことだ。地球上でもっとも成功したK-POPグループのひとつであるBLACKPINKのメンバーとして活躍するタイ出身のLISAは、いまでは誰もが知る国民的スターだ。対するタイラも、南アフリカを代表するアーティストのひとりとして、世界から熱い視線を注がれている。先日も「Water」によって、南ア出身アーティストとして50年以上ぶりに全米シングルチャート「Billboard Hot 100」にランクインするという快挙を達成したばかり(最高で7位を記録)。新世代歌姫は、ポップスの要素を織り交ぜたアマピアノ・サウンドで世界中を虜にしている。 撮影後、LISAとタイラはソファに腰掛け、自分たちが現在直面しているキャリアの重要な局面について語り合った。このときタイラは、BETアワード2024新人賞と最優秀インターナショナル・アクト賞を受賞したデビューアルバムのデラックス・エディション『TYLA+』 を10月11日にリリースしたばかり。対するLISAは、ライアン・テダーをプロデューサーに迎えたシングル「Rockstar」(6月28日リリース)とともにソロ活動を再始動させた。このほかにも、スペイン出身のポップ・アイコン、ロザリアとのコラボ曲「New Woman feat. Rosalía」(8月15日リリース)や、シックスペンス・ノン・ザ・リッチャーの「Kiss Me」をサンプリングしたポップソング「Moonlit Floor」を10月3日にリリースするなど、その活躍ぶりには目覚ましいものがある。そんなLISAが、次のコラボ相手にタイラを選ぶ日もそう遠くないのかもしれない? LISA:まずは、(BETアワード受賞)おめでとうございます! 2冠だなんて、すごすぎる! 本当におめでとう! タイラ:ありがとう! LISAも「Rockstar」リリースおめでとう! MVも、めちゃくちゃかっこいいよね。 LISA:ありがとう。MVは故郷のタイで撮影したんだ。 タイラ:そうなの⁉︎ いいよね、タイ。とってもきれいな国だよね。 LISA:好きなタイ料理はある? タイラ:トムカーガイ[鶏肉のココナッツミルクスープ]。正しく発音できてないかもしれないけど。 LISA:そんなことない! ちゃんと言えてるよ。 タイラ:11月にタイでライブをするんだ。 LISA:そうなんだ! あとで日にちを教えて。観に行くから。 タイラ:いろいろ現地を案内してね。最後に帰省したのはいつ? LISA:2週間前。 タイラ:いいなぁ。私は、もう長いこと南アフリカに帰っていなくて。最後に帰省したのは、クリスマスの時期かな。 LISA:そうなんだ。アメリカはどう? カルチャーショックを受けることはある? タイラ:南アフリカとは全然ちがう。食べ物から話し方まで……何から何までちがうことだらけ。トイレも全然ちがうんだよね。アメリカのトイレでは、水を流すと最初に水がわーっと流れてきてから、穴の中に吸い込まれていくでしょう? 南アフリカでは、いきなり吸い込まれていくの……って、なんでトイレの話をしているんだろう。とにかく、全然ちがうの。LISAは、アメリカ料理は好き? LISA:そもそもアメリカ料理って何だろうね。ピザとかハンバーガーとか? ロスに来ると、ついついタイ料理や韓国料理、中華料理ばかり食べてしまう……。タイラのお気に入りの南アフリカ料理はなに? タイラ:おすすめはブラーイ。バーベキューに近いんだけど、いろんなスパイスを使うの。 LISA:「Rockstar」のMVの話に戻るけど、このMVにはタイの要素がたくさん盛り込まれていて。だから観た人はすぐに「あ、タイだ。LISAは自分の国を誇りに思っているんだ」ってわかってくれるはず。 タイラ:タイの人たちも、LISAのことを誇らしく思っているよ。 LISA:タイラも南アフリカの人たちの誇りだよ。 タイラ:私の場合、自国の文化を世界の人たちと分かち合うことは、昔からの夢だった。それまでの道のりは楽しかったけど、大変でもあった。多くの人が理解できるものではないから。だから、南アフリカの文化に関心がない人と距離を置くことに慣れる必要があったの。でも、関心がある人に南アフリカの多様な文化や言語、ダンス、チャントを教えるのは素晴らしい経験だった。みんながそれを楽しんでくれている姿を見ると、すごくワクワクする。 LISA:「Water Challenge」が大好き。私もやってみたいけど、ぜったい無理だと思った。 タイラ:何言ってるの? ダンサーなのに! LISA:タイラみたいに腰を振れる気がしない。 タイラ:私が教えるから! LISA:4、5歳のときにダンスを習いはじめたんだけど、ダンスは、私が世界で一番好きなこと。誰かに「LISA、踊って!」と言われたら、「いいよ! 踊るから見ててね」って嬉しくなる。ダンスは楽しいし、私のパッションでもある。歌やラップはパフォーマンスだけど、私にとってダンスはすごく自然なもの。何も考えずにできるものなんだ。 タイラ:LISAのダンスのすごいところは、難しいのに楽々とこなしているように見えるところだよね。アフリカ文化とダンスは、まさにふたつでひとつって感じ。ネット上で拡散されたアフリカのダンスのほとんどは、南アフリカの人であれば誰でも踊れると思う。私たちにとってダンスは、スピリチュアルで自然なもの――代々受け継がれてきたものなんだ。もともと「Water」のダンスは、アマピアノとポップスを融合させた曲のためのダンスじゃない。でも、個人的にはあのダンスの見た目が気に入っていたから、「Water」でやってみることにした。SNSは、南アフリカの文化を世界に発信するためのきっかけをつくってくれたと思う。いまでは、そういうダンスを大きな会場で披露できることに幸せを感じている。理由はわからないけど、あのダンスが「Water」にハマったんだ。 LISA:私は、「Water Challenge」がきっかけで、初めてタイラのことを知った。ステージの上で水を浴びながら踊っている姿を見て「この子は誰?」って見入ってしまったことを覚えている。それからタイラの曲や活動をチェックするようになった。 タイラ:私にとってLISAは、BLACKPINKの推しメンだから。いい意味でグループに尖った雰囲気をもたらしていて、それがすごくかっこいい。LISAのラップや動き、ファッションも最高にかっこいい。親友といつも動画を観ていたの。 LISA:そう言ってもらえるなんて、嬉しいな。 タイラ:お世辞じゃないから。