ちょっと古いクルマから聞こえる「キュルキュル音」は何? まさか「エンジンの悲鳴」とか!? 「“謎”異音」の正体とは
「キュルキュル」異音が発生する原因とは
クルマに使用されるファンベルトの素材は、合成ゴムと繊維です。 Vベルトに使用される合成ゴムは特殊な素材を使用し、耐熱性、耐油性、耐摩耗性、耐屈曲性といったあらゆる耐久性を有しています。
動力伝達をする側、される側の受けとなるプーリー(歯車のようなもの)の素材の主流は金属です。 ゴムでできたベルトを、しっかりしたグリップ力で金属のプーリーを高速で回転させるという負荷の高い仕事をしていることになり、補機類をしっかりと回すためにはファンベルトとプーリーの間に強い摩擦力が必要です。 ただその摩擦力はエンジンのパワーが使われます。この摩擦力が低いとファンベルトが滑って、補機類を回すことができません。 ファンベルトとプーリーの間に適正な摩擦力が発生するようにベルトとプーリーの形状は工夫され、ベルトの素材も工夫されています。 また適正な摩擦力が加わるよう、ファンベルトのテンション(張り具合)も適切にしなければなりません。 このバランスが崩れると「キュルキュル」音が発生します。ファンベルトの劣化や不適正なテンションが、その異音の発生源となります。 寒い時期では、エンジンをかけた後にキュルキュル音が発生することがあります。 これはわずかな変化ですが、気温低下でファンベルトが硬化し、プーリーが縮みを引き起こして摩擦力に変化が生じて発生するものです。この場合は、エンジンが暖まると異音は止まります。 またファンベルトを交換直後しばらく鳴ることがありますが、この場合は慣らしが終わればキュルキュル音は終息します。 気になる場合は市販の「ベルトの鳴き止めスプレー」をベルトに吹き付けると、おおむね収まります。
ファンベルトはDIYで交換しても大丈夫!?
ファンベルトをDIYで交換する例をSNSなどで見ることができますが、筆者(佐藤 亨)としては推奨しません。
筆者は以前、自動車整備工場でファンベルト交換をしてもらったあと、しばらくキュルキュル音が止まらなかった経験があります。 鳴き止めスプレーで対処していましたが、あるときベルトが突然切れてしまいました。 その修理時に判明した原因が、取り付けた際にテンションをかけすぎたせいでした。 つまりプロでも陥る作業ですので、慣れないDIYではなおさらテンション調整は困難な作業となるでしょう。 注意したいのは、エンジンが暖まっていたり気温が高い時期でも、キュルキュル音が発生するときです。 この場合は速やかに修理しましょう。 ファンベルトが切れるとバッテリーが充電されずエアコンが効かなかったり、最悪の場合は走行不能などの症状に陥ります。 ファンベルトの寿命は車種や使用状況、環境によって変わりますが、おおむね5万キロから10万キロとなっています。 交換に必要な費用は車種によっても異なりますが、ベルト代が2000円から6000円、工賃が5000円から10000円が主流です。 この機会に、愛車のファンベルトの予防交換を検討してみると良いでしょう。
佐藤 亨