スペインの五輪招致失敗から見える次の問題
ドーピング問題が最大の敗因
2020年オリンピック開催都市の最有力と言われながら、まさかの惨敗を喫したスペインのマドリード。スペインの各紙は、さっそく五輪招致失敗の原因を追求している。もちろん、どこも、一面でも扱いで 「驚き、疑い深い、完全に落胆」(ムンド・デポルティーボ紙) 「さよなら、2020マドリードオリンピック」(スポルト紙)と暗い見出しが並んだ。 スペインの報道は、マドリードの招致活動の問題点を指摘するものと、スペインを選ばなかったIOCを批判するものの2つに別れた。 エル・パイース紙は、日本が勝った理由を「信頼できる経済とドーピング対策が勝因」として、逆に、「マドリードはドーピング問題と経済危機が敗因の原因」とヘッドラインを打った。 「なぜマドリードは敗れたのか。インフラの整備がほとんど進んでいない。スペインは経済問題が課題とされ、対照的に日本に対する信頼性は高かった。さらに質問の3分の2がドーピング問題についてだった」と、2つの敗因を並べた。 IOCのロゲ会長の過去のコメントも、こう引用していた。 「2006年ツール・ド・フランス直前に起こった“オペラシオン・プエルト”というドーピング摘発作戦について、ロゲ氏は、今年3月エル・ムンドの取材に対し、『あの裁判の総括は非常にフラストレーションのたまるものだった』と、語っていた。さらに『マドリードの経済危機はあまり影響していない。実際、重要な施設はほとんどできているから大きな出資は必要ない』としたが、しかしドーピング問題については、『新しい法律はとても良いもので、疑う余地はないが、数年前から問題がない状態でないとならない』と語っていた」 つまりロゲ氏が、スペインが開催都市に選ばれるためには、ドーピング問題が大きな障壁であることを示唆していたことを重要な敗因理由として捉えた。 アス紙は「IOCに対して、マドリード敗北のまた違う問題点をさらした」、「マドリードには意味がある、IOCにはない」と掲載。マルカ紙は「2020マドリードオリンピックの夢は、厳しく、説明もできなく、ついえた」、「IOCに落胆」、「IOCは質素さを捨て、投資の浪費を選んだ」と、日本開催を選んだIOCに対して否定的な立場で報じた。マドリードは、経済危機が叫ばれている中、それを逆手にとって施設の80%がすでに完成しているなど、緊縮財政の元、質素なオリンピックをひとつのコンセプトとしていた。北京、リオデジャイロと都市の開発発展型のオリンピックではない新しい形を提示したつもりであっただけに、財政、安定を打ち出した東京五輪を選んだIOCを皮肉ったようだ。