Netflix新作アニメ「Tokyo Override」の監督にインタビュー!こだわりのエキゾーストサウンドと「ポップ・ノワール」な世界観に注目だ
──なぜ、東京が舞台なのでしょうか? 「これはNetflixさんからお声をかけていただいた企画段階で提案されていたものの一つでした。もちろん他の都市への変更も検討しましたが、Netflixさんという世界配信プラットフォームを考えた時のインパクトや、漫画原作などではないオリジナル作品として皆さんに見てもらうための仕掛けとして東京に落ち着きました。その上で、100年後の日本をワールドビルディングを通じて構築していく中で、大規模自然災害や出生率の低下を踏まえてなお、まだ都市として機能し、新しいテクノロジーが導入されている街として東京を舞台とする必然性を作っていきました。 ただし、このように未来の東京がどのようなもので、なぜその東京でこのような物語が発生するのかといった世界観の設定をきちんと整理しつつ、これまで多くの東京を舞台にした作品で使われるような渋谷や原宿、新宿といった地区以外で起こる物語にしようと意図しながら制作しました。」 ──「Tokyo Override」の近未来的な世界観は、既存のSF映画とどういった点が違いますか? 「これはとても難しい、しかし避けて通れない問題でしたが、まず一つは過去作で多く見られるような、「ディストピア」ではなく「ユートピア」的な世界観を基本に進めました。とはいえただのユートピアでは物語的に展開しずらいので、大多数の人々はこの最適化された世界を楽しんでいる、という世界の光の部分を設定しつつ、その対比として暗部が浮かび上がるような形にしようと試みました。 その過程で、「ポップ」さと「ノワール」を組み合わせた「ポップ・ノワール」という造語を考えた時に、方向性が固まったような気がします。SFというジャンルで考えると、どうしても青いスクリーンやネオン、巨大な白い建造物といったイメージが浮かびますが、この新しいジャンルの感覚を元に鮮やかな色彩やエフェクトを決めていくことで、また違った世界観を作り出そうと試みました。」