【文蹴両道】慶應志木高校MF有山凜生主将#2「勉強も一生懸命やらなきゃいけないがモチベーション」
慶應志木高校は埼玉県内で抜群の学力を誇り、在校生の大半が慶應大学に進学する。 学校は草本・木本を合わせ、600種以上の豊かな武蔵野雑木林の面影を残し、20種類を超える野鳥の憩いの場ともなっている。自然に恵まれた環境下で文武に励む生徒が多い。 【フォトギャラリー】慶應志木 サッカー部はかつて埼玉県内で覇権を争うほど高い水準にあり、新田博利氏は日本リーグの日立でプレーしたOBでもある。 そんな名門復興に注力を傾けた前チーム、有山凜生主将(3年)に部活動と勉強についてお聞きした。 ――ところで勉強に時間を割きたいがため、サッカー部を辞めようか逡巡したことはありますか? 1度もないですね。その理由は何と言ってもサッカーが大好きだからです。好きなサッカーをやらせてもらっているのですから、中途半端で終わらせたくありませんでした。自分の場合は、サッカーに打ち込みたいから勉強も頑張れるんだと思う。サッカーをやっていたいので、勉強も一生懸命やらなきゃいけない、というのがモチベーションになっているんだと思います。 ――大学は何学部を志望しているのですか? 第一希望は理工学部です。 ――まだ高校生ですから明確な将来像を描くのは難しいでしょうが、何らかの夢を抱いているのですか? できたらスポーツ関係の仕事に就きたいと思っています。かなり漠然としていますが、数学的なものとスポーツを融合させたものです。
――有山さんが主将だったチームの特長、ストロングポイントはどこにありましたか? 自由に考え、自由に振る舞う人が多いので決まった戦術は多くありませんが、個人の能力で戦況を打開できるところでしょうか。特に3年生のFW雑賀(蒼太郎)のヘディングはめちゃめちゃ威力があり、体の強さも半端ないです。トップ下の自分をはじめ、両サイドの選手が配給したボールを最後には決めてくれる頼もしいエースです。 ――自分で考え、自らの責任で判断し行動する、という慶應義塾の理念を遂行していますか? はい、少しですが。部長の川原(行人)先生は自分たちの考え方を尊重してくれます。試合の時のハーフタイムでも、何か具体的な指示をするわけではなく、自分たちで考えるためのヒントのようなものを出すことのほうが多いんです。 ――慶應志木に入学したからこそ発見できたことは何でしょうか? 受験がない分、時間を気にせず大好きなサッカーに没頭でき、納得するまで打ち込めたのは本当に幸せでした。それに加え、ここに入って自分で考える力が付いたと思います。中学の時は言われたことだけをやっていれば良かったのですが、慶應志木はそれでは通用しません。自分がいい選手になるためにも、考えながら何をすればいいのか、しっかりと判断できないといけないと思う。考えて考えて、行動する力が備わったように感じます。 ――全国高校選手権予選は、1次予選の代表決定戦で敗退してしまいました。 実は今シーズン、県大会には1度も出場できていなかったんです。全国高校選手権予選にしても、昨年まで3年続けて決勝トーナメント1回戦で負けているので、1次予選を突破して1勝したかったですね。 (文・写真=河野正)