「PET検査」はがんだけじゃない!? 発見できる疾患や検査の注意点も医師が解説!
PET検査で見つかるアルツハイマー型認知症以外の疾患
編集部: アルツハイマー型認知症以外に、PET検査が有用な疾患はありますか? 吉田先生: 心臓サルコイドーシスや大型血管炎の評価に、PET検査が用いられることもあります。 編集部: 心臓サルコイドーシスについて教えてください。 吉田先生: リンパ節、目、肺、心臓などの、全身の様々な臓器に肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれるしこりができる病気をサルコイドーシスと言います。発症の原因は不明であり、難病指定されている疾患です。それが心臓にできたものが心臓サルコイドーシスです。 編集部: 心臓サルコイドーシスになると、どのような症状がみられるのですか? 吉田先生: 強い動悸、めまい、立ちくらみ、失神、手足のむくみなどが表れます。また、致死性不整脈が起こり、突然死の原因になることもあるので注意が必要です。 編集部: なぜ、PET検査が心臓サルコイドーシスの診断に有用なのでしょうか? 吉田先生: 心臓サルコイドーシスのPET検査では、ブドウ糖によく似た性質を持つFDGという薬剤を注射して、FDGの集まり具合によって疾患の活動性を評価します。FDGは炎症を起こしている病変に集まりやすいという性質があるため、FDGの集まり具合を確認することで心臓サルコイドーシスの評価をすることができるのです。 編集部: 大型血管炎についてはいかがでしょうか? 吉田先生: 大型血管炎は大動脈とその主要分枝に炎症が生じる疾患の総称で、「高安動脈炎」と「巨細胞性動脈炎」の2つに分類されます。FDGは炎症を起こしているところに集まりやすいという性質があるため、PET検査をおこなうことで、全身のどこで炎症が生じているのか、活動性の有無について一度の検査で診断することが可能です。
PET検査の注意点
編集部: PET検査を受ける際の注意点はありますか? 吉田先生: FDGを使用するPET検査は、がん細胞など異常のある部分にブドウ糖によく似た薬剤が集まる性質を活用した検査です。そのため、検査前に4~6時間絶食して、体内のブドウ糖を減らすことで薬剤の集まり具合を診断しやすいようにしますが、糖尿病などで空腹時血糖値が普段から高い人は、正確に診断することができません。そのほか、妊娠中の人や妊娠の可能性がある人は被ばくによる胎児への影響を考え、検査を受けることができません。 編集部: ほかにも注意すべきことはありますか? 吉田先生: 検査前に激しい運動をするとFDGが筋肉に集まってしまい、正しい診断が難しくなってしまう可能性があるので控えましょう。アミロイドPET検査は食事の影響を受けないので、検査前に絶食する必要はありませんが、激しい運動は控えるようにしてください。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 吉田先生: PET検査は、様々な疾患において利用されるようになり、健康保険での検査も可能です。ただ、身近な検査にはなったものの、PET検査ができる医療機関は限られます。また、健康保険の適用には決められた要件を満たす必要があるので、主治医の先生とよくご相談ください。