中部シンものづくり (1) 第2章 デジタル化で革新 「AIと一緒に働く」現場 異常の予兆 素早く検知
10分の1に短縮 「実現できれば、開発期間は10分の1に短縮できる」と語るのは、日本ガイシ(本社名古屋市)の小林茂社長(63)。同社は、材料開発の分野で、AIなどを駆使して新材料を効率的に探索する「MI(マテリアルズ・インフォマティクス)」の実用化を進めている。 これまでの実験データや、報告書などをAIに学習させ、高速実験を繰り返しながら、革新的な材料創出を目指す。MIは樹脂や染料など、有機材料を扱う企業ではすでに導入が進んでいる開発手法。ただ、構造が複雑な無機材料であるセラミックの場合は、実用化が難しいとされてきた。 現在は、100年分の実験記録や、1万件以上の報告書、高速実験のデータなどをAIに学習させ30年までにグループ全製品の材料開発に適用する考えだ。小林社長は「現在も一部の物質については、3分の1まで短縮することに成功している。開発が短くなり、提案が速くなるのは大きなビジネスチャンスだ」と強調する。
◇◇◇ 生産性向上への要求が強まる中で、製造業のデジタル化が進化している。中部シンものづくり第2章では、デジタル化の新潮流を、中部各社の事例を通じて紹介する。