これからの遺言はどうなる?「デジタル遺言(電子遺言)」「自筆証書遺言保管制度」活用のポイント【相続専門税理士が解説】
遺言書の紛失や改ざんを回避する「自筆証書遺言保管制度」
現状において、すでに自分で自筆証書遺言を作成済みの人がさらに安全を担保する方法としては、「自筆証書遺言保管制度」というものがあります。 これは、自分で作成した遺言書を法務局で保管してもらえる制度で、これを使えば、遺言書の紛失や改ざん、隠蔽といった問題が起こることを防げるのです。また、法務局の窓口で遺言書の形式を確認してもらえるため、遺言書の書き方の問題で無効になってしまうことを防ぐこともできます。 また、通常の自筆証書遺言の場合、相続が発生したときに家庭裁判所の検認が必要ですが、この自筆証書遺言保管制度を使えば検認は不要です。 遺言書が法務局に保管されていることを相続人が知らない場合も安心です。相続が発生したときに、法務局から相続人へ通知が送られるからです。相続人は、全国の法務局の窓口で遺言書を閲覧することができ、証明書も発行してもらえます。この証明書があれば、不動産の相続登記や銀行預金の解約手続きができるようになります。なお、法務局で保管してもらうには、1通につき3,900円の費用が掛かります。 現在、デジタル庁では、法定相続人の特定に係る遺族の負担を軽減させるための制度改正を検討しています。法務省でも、相続手続きで戸籍謄本や戸籍抄本の添付を省略できるように、戸籍情報連携システムが2024年から稼動しています。さらなる利便性の向上が期待できると考えられます。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄