準決勝進出の昌平・玉田圭司監督「負けを覚悟しました」からの猛攻で選手たちが見せたポテンシャル
7月31日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)の準々決勝が行われ、JヴィレッジP3の第2試合では昌平(埼玉)が2-2(PK:4-2)で桐光学園(神奈川1)を下し準決勝に駒を進めた。 【フォトギャラリー】昌平vs桐光学園 前半は昌平の相手を押し込むサッカーが鳴りを潜め、桐光学園イレブンが躍動した。桐光学園の前線からの積極的な守備、MF大谷湊人(3年)への徹底マーク、試合前の豪雨でピッチが滑りやすくなっていたこと。複合的な要素が昌平の歯車を狂わせた。 「疲労もありますし、先を見据えてはいけないですけど、準決、決勝であいつらが100(%の状態)でやれる様な環境ってものを作りたかった」とは昌平の玉田圭司監督。MF山口豪太とMF11長璃喜の2年生コンビをベンチスタートにしたことも影響したかもしれない。 22分にCKから先制ゴールを奪われると、27分にもPA内でMF本田健晋(3年)が止まり切れず相手を倒してしまいPKを献上。これを決められ2点ビハインドで前半を終えた。 「前半の出来を見たら分かると思うんですけど、負けを覚悟しましたよね」と玉田監督が振り返ったように、前半の内容と、35分という残り時間を考えると指揮官がそう感じたのも頷ける。 それでも山口と長を頭から投入し反撃に出た昌平は、44分にFW鄭志錫(3年)のヘディングシュートで1点差に詰め寄ると、69分にはDF中松陽太が頭で合わせ、土壇場で同点に追いつた。そしてその後のPK戦を4-2で制し、準々決勝を突破した。 「一言で言ったら隙があったんだろうし、自分たちは普通にやったら勝てるだろうと、選手たちに聞いたら、たぶん無いと言うだろうけど、それはあったんだと思う。後半を見れば、自分たちが圧倒できるわけで。点を取る力もあるわけで。それを何で最初からできないんだと言うことを(選手たちには)言わせてもらった」 どこかに油断や慢心があったんじゃないかと、選手たちに問いかけたという玉田監督。それでも逆境に追い込まれてからの後半の選手たちの戦いぶりは凄まじく、桐光学園のDF4青谷舜(3年)には「10(山口)と11(長)が入って来てチームがガラッと変わった。本当に相手の良さが全部出てきて、本当に上手かった」と言わしめた。 「こういう試合で、やっぱり自分たちのポテンシャルみたいなものを感じたし、選手たちも感じてくれたから、こういう試合で勝てたことは僕にとってもそうだし、選手にとってもただの1勝ではないなと思います」 指揮官がそう話したように、自分たちの弱い面とストロングを再確認できたこの1勝の意味は大きい。そして次はいよいよ昌平の鬼門とも言える準決勝。相手は、昇格初年度ながらプレミアWESTで暫定5位と大健闘を見せる帝京長岡(新潟)だ。 「スタイル的には、少し似ている部分があると聞いてる。ただ自分たちは何も変えるつもり無いですし、相手があってのサッカーですけど、とにかく自分たちのこと、相手の良さを消すってことをやりながら、自分たちが優位に運べるようにやっていきたい」 玉田監督は自分たちに目を向けるところは変わらないと準決勝を見据えた。 過去3度の挑戦で3回涙を飲んできた舞台。準決勝第2試合、昌平vs帝京長岡はJヴィレッジスタジアムで8月2日の12時から行われる。 (文・写真=会田健司)