ラグビーW杯残り1年。世界選抜に惜敗した日本代表に浮き彫りになった課題とは?
NZ出身のDFコーチ提唱の新システムの成果は?
昨秋からニュージーランド出身のジョン・プラムツリーディフェンスコーチが鋭い出足の守りを提唱。相手との間合いを一気に詰める。この動きは体格面での劣勢を埋めるのに効果的で、この日も、アウトサイドセンターのウィリアム・トゥポウらが好スマッシュを繰り出すなど機能したシーンがいくつかあった。 もっとも飛び出した時の圧力が不十分だと、余裕を持って背後にパスやキックを通されてしまう。さらに大外の死角へボールが回った場合は、内側を抑えていた選手が危険な場所をカバーしなくてはならない。序盤の失点シーンでは、このようなシステム遂行時のチェック項目にやや不備があったようだ。全体に指示を出すフルバックのヘンリーが普段はウイングの選手だったことも、向こうの快適さを招いたか。 さらに自陣ゴール前に張り付けにされた31分には、日本代表が左のスペースに人員を割いたところで右のスペースを攻略され7―17と点差が開いた。 「些細なミスがチームにどんな影響を及ぼすのか。それをチーム全員で理解することが大事です」 稲垣は改めて、防御面の反省点を洗い出す。 「ディフェンスは、外側までしっかり上がれている時は高い位置で止められているが、それができていない時は、一発で抜かれた。システムはいいのですが、それを80分やり切るだけの体力があるかどうか。徐々にそうできるレベルに来ているとは思うのですが、ラインスピードを上げられている時と上げられていない時にムラがあります。戻された時に、全員でどうラインスピードを上げるかがこれからの課題になります」 世界選抜が初顔合わせから1週間弱でこの夜を迎えたのに対し、日本代表は9月の下旬に和歌山で候補合宿を実施。10月下旬も約2週間、宮崎で事前キャンプを張っていた。国内トップリーグ第7節があった同月第3週も、追加招集者を除いた全選手が各所属先を離脱。日本ラグビー協会の方針を各クラブが受け入れたおかげで、代表活動への専念が叶ったのだ。