プロ野球の多様性を拡げ、交流を深めるインターリーグ、交流戦
焦点となった「指名打者」
MLB、NPBともにインターリーグ・交流戦を行う上での留意点は「指名打者」だった。指名打者制のないナショナル・リーグ、セントラル・リーグと、指名打者制があるアメリカン・リーグ、パシフィック・リーグの対戦では、原則として指名打者制があるリーグのチームの主催試合でのみ、指名打者制が導入された。 NPB、MLBともに両リーグの実力は「互角」だと思われていたが、どちらも「指名打者制のあるリーグ」の方が勝ち越している。 NPBは昨年までセ1122勝73分パ1253勝、でパが勝ち越し。パの勝率は.528。MLBは2022年までア3636勝ナ3330勝でアが勝ち越し。アの勝率は.522だった。 なぜ指名打者制のあるリーグの方が強いのか、については議論が分かれているが、指名打者という「9人目の打者」を育成しているリーグの方が、打線の層が厚くなるから、とか、指名打者があることで先発投手は代打を送られて交代することがなくなるので、より長く投げる実力を蓄えるから、などの説がある。
インターリーグ、交流戦で広がった愉しみ
MLBは2023年からナショナル・リーグも指名打者制を導入、MLBではこれを「ユニバーサルDH制」としている。DHか投手でしか出場していない大谷翔平が、今季、ナショナル・リーグのロサンゼルス・ドジャースに移籍できたのはこの「ユニバーサルDH」ができたからだ。 またインターリーグは前年まで1チーム20試合だったが、2023年からは46試合になり、最低でも全球団と2試合対戦することとなった。 NPBは当初、6球団と6試合総当たりの36試合だったがこれが2007年に4試合総当たりの24試合になり、2015年からは3試合総当たりの18試合になっている。 インターリーグ、交流戦が導入されたことで、野球ファンは多彩な対戦カードの試合を観戦することができるようになった。 この制度がなければ、MLBでいえばヤンキースのスラッガー、アーロン・ジャッジと、ドジャースの大エース、クレイトン・カーショウとの対戦はあり得なかった(ジャッジは通算6打数1安打ながらその1本が本塁打)。NPBでいえば、ヤクルトの村上宗隆とロッテの佐々木朗希の対戦もあり得なかった(村上は通算2打数1安打1本塁打)。 MLBで27年、NPBでも19年が経過して、インターリーグ、交流戦はプロ野球のペナントレースにすっかり定着したと言ってよいだろう。