55歳、最近体力が落ちたと実感があり、今後も働き続ける自信がありません。いま退職するメリット・デメリットはありますか?
Aさんは定年まであと5年を控えた55歳です。同期仲間では、「当然再雇用の一択」との話ですが、個人的には最近体力の衰えを実感し、今後も働き続ける自信がないというのが本音だそうです。今退職するメリット・デメリットについて整理したいとのことです。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
家計資産をチェックして、年金の不足分を補うことができるか確認
Aさんがご相談に来られたという時点で、経済的な心配はないと思われますが念のため確認しておきましょう。 総務省の資料によれば、65歳以上の無職世帯の1ヶ月の消費支出は28万3177円です。これと老齢年金との比較で不足する分を補っていける貯蓄があれば計算上は賄っていけることになります。 比べた結果、家計運営上は大丈夫という前提で「働くのか」「退職するのか」を検討しましょう。
現役時代の全労働時間9万時間 VS 退職後の自由時間は11万7500時間
現役時代、8時間労働として1年間250日間、45年間勤務したと仮定した場合の全労働時間は9万時間、これに対して60歳男性の平均余命は約23年。8時間の睡眠以外の時間14時間を自由時間として1年間365日間、23年間過ごすと仮定した場合の60歳退職後の自由時間は11万7530時間です。 現役時代よりも長い人生の後半の自由時間をどのように過ごすかによって、Aさんの人生がより充実したものになるのかどうかが決まるといってもいいでしょう。
メリット1:自分のやりたいことが決まっていれば充実した時間に
最大のメリットは「自分の意思で自分のやりたいことをやる」、これに尽きるといえるでしょう。 同世代の方からのお話を伺うと、「お金」というよりも「退職しても何をしたらいいかわからない」という消去法的な理由で就労の継続を決める方も結構いらっしゃいます。 大学を卒業して40年間余り、人間関係は「会社の仲間、先輩、後輩、上司」あるいは「取引先の顧客」という中で過ごしてきた世代にとって、いまさら退職して新しく人間関係を構築することは考えられない、というのもうなずける話です。同様に話題についても、「どうすれば受注できるか」「どうすればより売り上げが拡大するか」「どうすればいい人材を採用できるか」がメインだった世代が、それ以外の目標や話題を探すことも難しいかもしれません。 これに対して、「退職したらこんなことをしたい」「こんな組織に参加してみたい」「こんな作品を作ってみたい」などといった目標がすでにある場合は、充実した11万時間になるでしょう。