【いよいよ最終回「海に眠るダイヤモンド」】なぜ現代編を2024年ではなく、2018年にしたのか? 「最大の謎」ーー2018年を“あえて描いた”その理由
日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系、脚本:野木亜紀子)はスケールの大きなドラマである。 【写真】「恋愛リアリティーショーかよ!」鉄平と朝子の“超ラブラブ”名シーン 日曜劇場というと『半沢直樹』や『下町ロケット』に代表される、現代を舞台にしたリアリティある企業もののイメージが強い。 しかし『海に眠るダイヤモンド』は、1955年の長崎・端島をVFXで再現し、2025年の東京までの70年間をつなげた壮大な物語で、数世代からなるファミリーヒストリーになっている。 ■朝ドラよりも大河に近い
『海に眠るダイヤモンド』には企業ものの要素もあればホームドラマの要素もあり、長崎の原爆の被害も描かれた。VFXのビジュアルの迫力に負けない、俳優たちの生き生きとした芝居によって体現される人々の営みは、この枠の前にNHKで放送されている大河ドラマにも迫る勢いだった。 当初は、出演者の顔ぶれに神木隆之介、杉咲花、土屋太鳳、宮本信子らが並んだこともあって、まるでNHKの朝ドラのようだと視聴者からいわれてもいたが、ふたを開けてみたら近代大河のほうが近かったように思う。
はじめのうちは1950年代~1960年代の長崎・端島と2018年の東京との関係が謎めきすぎて戸惑った視聴者も、回を追うごとに両者の関わりが深くなっていくにつれ、物語に引きつけられていった。それだけのポテンシャルを持ったドラマであった。 『海に眠るダイヤモンド』の最終回放送を前に、ドラマを振り返りながら、なぜ、現代パートを「2018年」に設定したのか推理してみる。 コロナ禍に入る前に設定するほうが都合がいいからであろうという説もあるが、このコラムでは、「2018年」が平成の終わりの目前であることに注目したい。
『海に眠るダイヤモンド』は昭和を振り返ると同時に、失われた平成に思いを馳せるドラマなのではないだろうか。 2018年、稼げないホストとして荒んだ日々を過ごしている玲央(神木隆之介)は、あるとき偶然出会った高齢の女性・いづみ(宮本信子)に結婚を申し込まれる。 彼女は大企業の社長をやっていて、玲央は逆シンデレラ状態。彼はいづみの忘れられない人・鉄平(神木の2役)にそっくりだった。父母のことをよく知らなかった玲央と、いづみが愛する鉄平という人物はなんらかの関わりがあるのだろうか。