3月5日から暖かい日が増える『啓蟄』。細かく自律神経の調整が行われるこの時期に悩まされるアレルギー症状を改善するには?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>
「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「啓蟄(3/5~3/20頃)」です。 【イラスト】この時期、気軽にできる養生とは * * * * * * * ◆啓蟄(けいちつ) 3/5~3/20頃 うららかな春の陽気に誘われて、冬ごもりをしていた虫(=蟄)たちが目覚め、地中から出てきて(=啓)、活動を始めます。 暖かい日が増え、体感的にも春を感じられるでしょう。 とはいえ、朝夕はまだまだ冷えるので、気温差から心身ともに負担がかかりがちです。 この時期は花粉症に悩まされる人も。 不調をやわらげるためには、身体に陰と血(けつ)(注1)(潤い、水分、血液)を補い、五臓(注2)の「肝」の働きを助ける養生をしていきましょう。 (注1)中医学において「血」は、身体に栄養と潤いを運び、メンタルの安定にも作用する液体です。 (注2)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。
◆中医学的 啓蟄の暮らしかた ・心と身体の状態 暖かさを感じる日が増えていきますが、そのぶん朝夕の気温差も激しく、その変化に対応するため、心身ともに負担がかかる時期でもあります。 人間の身体は、たとえば気温に合わせて毛穴を広げたり閉じたりと、細かく自律神経の調整をくり返しますが、気温差が激しかったり、大きなストレスがかかったりすると、その調整に混乱が生じてしまいます。 結果として、それらのコントロールを司る肝や肺に大きな負担がかかり、肝や肺の弱りからくる症状――イライラ・ソワソワ・憂うつ・倦怠感など――に見舞われやすくなるでしょう。 ・起こりやすい不調 肝が弱る影響で肺が弱るので、花粉症などのアレルギー症状に悩まされる人が多い時期。 中医学では、身体の表面にある「衛気(えき)」と呼ばれるバリア機能が不足すると、花粉症などのアレルギー症状が悪化すると考えます。 また、元気がない・疲れやすい・声が小さくなる・汗をかきやすいなども、同じく「衛気」の不足が原因で見られる症状です。 そして、鼻水、涙などの分泌物がたくさん出るという人は、甘いもの、冷たいもの、水分などの摂りすぎが原因かもしれません。冬にこれらを食べすぎた人は、この時期、花粉症がひどくなる可能性もあります。