日本被団協、そして、広島の県被団協、世界に核廃絶を訴え続けた活動のこれまでを振り返ります。 【県被団協・箕牧智之理事長】 「森瀧市郎先生、伊藤サカヱさん、藤川一人さん、坪井直さん、歴代の理事長さん。坪井さんがいつも言われるように私たちは核兵器廃絶を諦めません」 １３日、原爆慰霊碑に向かって呼び掛けられた歴代の県被団協の理事長の名前… 日本被団協＝日本原水爆被害者団体協議会は、戦後１１年の１９５６年、被爆者の全国組織として結成されました。 その３カ月前に被爆地・広島の県被団協は全国に先駆けて誕生し活動の礎になりました。 【県被団協初代理事長・森瀧市郎さん】 「もし人類が生き残ろうとするならば、非核三原則に示されているような平和と非核を目指すほかに人類の生き延びる道はないと思います」 「核と人類は共存できない」と訴えたのが初代理事長・森瀧市郎さんです。 【県被団協初代理事長・森瀧市郎さん】 Q：反核運動を続けてきて一体何がわかりましたか？ 「核を持った国はなかなか頑固だということは腹に堪えてわかったですね。しかし最後は世界・民衆の力が勝つんじゃないでしょうか」 森瀧さんの娘で自身も平和活動に携わる春子さんは、今回の受賞決定を冷静に受け止めました。 【森瀧春子さん】 「私は実は正直に言うと喜びっていうのはほとんどないです。栄誉を求めて運動しているわけじゃないわけです。まあそういう性格。まあ本人のそういう主義もあって一切の賞を拒否してましたから。これが出発点なんだよと思わないと、やっぱり今の現実に立ち向かうことはできないんじゃないかなと」 日本被団協は日本だけでなく世界各地に足を運び、「核廃絶」と「世界平和」の実現へ地道な草の根運動を続けてきました。 【県被団協の理事長を務めた故・坪井直さん】 「みんなはひとりのために、１人はみんなのために」 地道な活動が実を結び歴史的瞬間を迎えたのが２０１６年でした。 当時のオバマ大統領がアメリカの現職大統領として初めて広島へ。 抱擁を交わした被爆者・森重昭さんは… 【被爆者・森重昭さん（８７）】 「自分のことのようにうれしい。『広島の願い』をノーベル平和賞によって認められたということを意味するのでないかと思いました」 さらに去年のＧ７広島サミットでも各国首脳が原爆慰霊碑に花を手向け、被爆証言に耳を傾けるなど、世界の関心を集めました。 一方、ここ数年は被爆者が高齢化し、被爆体験の継承が課題となっています。 【会員】 「会員の減少に歯止めがかからない状況」 そうした中でも世界で核の脅威が高まる中、核兵器の開発や使用などを全面的に禁止する「核兵器禁止条約」の日本の署名・批准を求め、核なき世界の実現を呼びかけ続けています。 【長崎市で被爆 故・山口仙二さん】 「私たち被爆者は訴えます。命がある限り私は訴えます。ノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキ、ノーモアウォー、ノーモアヒバクシャ」 日本被団協は１９８０年代からノーベル平和賞の候補として名前が挙がってきましたが、受賞をすることはありませんでした。 世界情勢が緊迫する中での受賞決定は、再び惨禍を繰り返さないための世界へのメッセージでもあります。 【県被団協の理事長を務めた故・坪井直さん】 「核兵器廃絶のためには、どんなことがあっても諦めてはならない。ネバーギブアップです」