車検の電子装置検査、ご存じですか 10月開始、所有者の作業必要なケースも
車検の項目に今月、電子装置の検査(OBD検査)が加わった。運転支援や排ガスの抑制などに関連する装置が対象。車のコンピューターに専用の検査機器をつなぎ、外観では分からない故障の情報を調べる。車検の前に所有者側の作業が必要なケースもあり、地場の車検事業者が周知を図っている。 広島マツダ(広島市中区)は半年余り前から準備を本格化した。車検を担う指定工場全17店に最新の検査機器を導入。故障の有無を確認するために実施する自動車技術総合機構(東京)のサーバーとの通信や、専用アプリのダウンロードの手続きは、セキュリティーを重視するマツダとやりとりしながら進めた。 業界団体の講習会にも各店の代表者が参加した。車検時の作業自体は5~10分ほどで済む見通しだが、藤井治取締役は「車に安心して乗り続けてもらうための車検制度。高度な安全に関わるOBD検査で、絶対に不備があってはならない」と気を引き締める。 今月からOBD検査が義務となったのは2021年10月以降の新型車。輸入車は22年10月以降の新型車で、車検証の備考欄に「検査対象」と記載される。自動ブレーキや車線の維持といった機能を担う装置が正常かどうかを、運転席近くなどにある差し込み口に検査機器を接続して調べる。 広島県内に「車検のコバック」5店を構えるサコダ車輌(佐伯区)は、検査システムやコンピューターを更新した。年間2万台の車検を担っている。「OBD検査が始まったのを知らない顧客が大半。まず周知が必要だ」。森岡真也執行役員本部長は話す。 特に気にかけるのは、レーダー探知機やテレビ視聴用機器を差し込み口に接続しているケースだ。国土交通省は「事前に取り外さないと検査できない」とする。同社は、電話での予約受け付けや車が持ち込まれた際に、所有者に外すよう求める。OBD検査の対象車は車検費用が4400円高くなるため、診断結果を印刷して渡すなどして納得感を高める。 対応が追い付いていない車検事業者もある。輸入車中心のある企業は「検査機器の導入が一部で遅れている。対象車種がすぐに持ち込まれることはないと思うが、作業手順の確認を含めて準備を急ぎたい」とする。
中国新聞社