非正規公務員、10月改定の最低賃金すれすれの市町も 「官製ワーキングプア」生む構図温存
広島県内の自治体で働く非正規職員の一部で、賃金水準が最低賃金(最賃)すれすれの状態が続いている。9月末時点の最も低い時給が、今月1日に改定後の県内の最低賃金(1020円)を下回っていたケースは、県内23市町のうち6市町であった。4市町は改定と同時に賃上げし、残る2市町も引き上げ方針を決めたが、「官製ワーキングプア」を生む構図は温存されたままだ。 【一覧表】会計年度任用職員の時給最低額 非正規公務員の9割を占める会計年度任用職員の最低時給額を広島県と23市町に尋ねた。9月末時点で、今月からの最賃を下回る時給を設定していたのは呉、尾道、福山の3市と熊野、坂、世羅の3町。最も低かった福山市は、改定前の最賃と同額の970円だった。 公務員である会計年度任用職員は最低賃金法の適用外だが、今月の改定と同時に福山市と坂町は最賃と同額の1020円、熊野町は1023円、尾道市は1030円に引き上げた。呉市と世羅町は人事院勧告に基づき年内にも、さかのぼって賃上げし、最賃を下回らないようにする方針。 会計年度任用職員は全国に約66万人いて、地方公務員の5人に1人を占める。総務省は昨年末、会計年度任用職員の給与水準について「地域の実情等を踏まえ、適切に決定する必要がある」「地域の実情等には、最低賃金が含まれる」と全国の自治体に通知している。
中国新聞社