トランプ当選のカギを握った…「男性中心主義者」たちのコミュニティ「マノスフィア」のすさまじい影響力
アメリカ大統領選でトランプ当選のカギを握ったのは、若い男性のトランプ氏への投票だったとされる。そして、そんな投票行動に一定の影響力をもったとしていまアメリカで注目されているのが、「男性中心主義者」たちが集まるネットコミュニティ「マノスフィア」だ。その実態を、在米ジャーナリストのシェリーめぐみ氏がレポートする(文中敬称略)。 【写真】安倍晋三が恐れ、小池百合子は泣きついた「永田町最後のフィクサー」
若い男性がカギを握った
アメリカ時間の11月6日、トランプの当確が出た直後、ステージに立った最も強力なトランプ支持者の1人で、UFC(United Fighting Championshipアメリカの総合格闘技団体)代表のダナ・ホワイトは熱を帯びた声で数人の名前を呼んだ。 「エイディン・ロス、テオ・ヴォーン、ネルク・ボーイズ、そして強大でパワフルなジョー・ローガン。君たちのおかげで勝てた。本当にありがとう!」 彼らの名前は日本ではあまりなじみのないものかもしれないが、アメリカの若者なら誰でも知っているポッドキャスターたちだ。トランプは投票直前になって、彼らの番組に立て続けに出演した。 その反響は想像を超えている。ジョー・ローガンのポッドキャストでは、トランプ出演回の再生回数は5000万回を突破した。視聴者の8割は若い男性だ。 2024年の選挙結果で最も衝撃的だったのは、多くがハリス支持とされていた若いZ世代のうち、男性の6割近くがトランプに投票したことだ。それが僅差の選挙でトランプに勝利をもたらしたと考えられている。 そして、そんな若い男性たちに影響を与えたとされるのが、上記のポッドキャストの数々なのだ。実際テレビのインタビューで「なぜトランプに投票したのか?」と聞かれた若者は、「ジョー・ローガンで見たから」と答えていた。 彼らを突き動かしたといわれるポッドキャスターと、彼らを中心に広がるManosphere(マノスフィア=とりあえず「男の世界」とでも訳せようか)と呼ばれるカルチャー&コミュニティには、いまアメリカでも注目が集まっている。 マノスフィアとは何か、なぜポッドキャストがそれほどの力を持ったのか? その背景にはアメリカ人でさえ気づかなかった、男女の深い分断がある。