激レア!? 三菱「ランエボ ワゴン」は346.5万円で第9世代が登場【今日は何の日?9月7日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、WRC一世を風靡し生産終了後の現在(2024年)も高い人気を誇る「ランサーエボリューション」(以降、ランエボ)初のワゴン「ランサーエボリューションワゴン」が誕生した日だ。ランエボワゴンは、第9世代「ランエボIX」をベースにした最強のワゴンである。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・歴代ランサーエボリューションのすべて■ランエボにも流行りのワゴンバージョンが登場 三菱・ランエボワゴンの詳しい記事を見る 2005(平成17)年9月7日、三菱自動車が誇る最強のスポーツセダン「ランエボ」の第9世代「ランエボIX」をベースにした「ランサーエボリューションワゴン」がデビューした。名機2.0Lターボ(4G63型)エンジンと4WDを組み合わせたランエボ初のワゴンだ。 ランエボのWRC黄金時代 初代ランエボが誕生したのは、1992年9月。WRCに参戦するために「ランサー1800GSR」に、ギャラン用の4G63型2.0L直4 DOHCターボエンジンを搭載しラリーマシンに仕上げた。1993年からWRCグループAに参戦、1994年に登場した2代目ランエボIIは、エンジンのパワーアップやボディ剛性改良によって、1995年の第2戦スウェディッシュラリーで、ランエボ初の優勝を飾った。 ランエボIIIとIVは、1996年に7戦中5勝を上げ、マキネンは4年連続でドライバーズチャンピオンとなり、また1998年に三菱はマニュファクチャラーズタイトルを獲得するなど、WRCでの三菱ラリーの黄金時代を築いた。 その後も2001年までに、ランエボVが4勝、ランエボVIが5勝、ランエボVI.5(6.5)が3勝を飾った。 しかし技術の進化とは裏腹に、この頃の三菱は経営状況が悪化し、WRCが「Aクラス」から「WRカークラス」への移行したこともあり、WRCがワークスとして参戦したのはランエボVIが最後となった。 ランエボVIIは、ベースモデルがフルモデルチェンジしたため、「ランサーセディア」がベースになった。4WDシステムを従来のVCU(ビスカスカップリング)付センターデフから、高精度な電子制御ACD(アクティブ・センターデフ)に変更したのが特徴である。 ランエボVIIIの特徴は、エンジンのチューンナップとスーパーAYC(アクティブヨー制御)の採用。これにより、高性能ターボエンジンと優れた走破性を誇る4WDに磨きをかけたのだ。 MIVECの採用とターボ改良でさらに進化した第9世代ランエボIX 2005年に登場したランエボIXは、先代VIIIで不評だったダイムラー・クライスラー出身デザイナーが手掛けた“ブーレイ顔“を一新して、冷却性に優れたシンプルなフロントマスクに変更した。 最大の特徴は、2.0L直4 DOHC(4G63)インタークーラー付ターボエンジンの吸気側にMIVEC(位相型可変動弁機構)を組み込んだこと。さらに、ターボチャージャーのコンプレッサーホイールをインコネル(ニッケルクロム合金)からチタンアルミ合金にするなどして、最高出力280ps/最大トルク40.8kgmの全域で高性能とハイレスポンスを実現した。 4WDについては、三菱独自のAWC(オールホイールコントロール)+スーパーAYC(アクティブヨーコントロール)+スポーツABSをさらにブラッシュアップし、高出力エンジンのパワーを余すことなく路面に伝えて果敢な走りを実現したのだ。 ランエボシリーズ初のワゴン登場 ランエボIXの発売から約半年後のこの日、ランエボIXをベースにしたランエボシリーズ初のワゴン「ランサーエボリューションワゴン」が追加された。 基本骨格は、ランエボIXのプラットフォームに「ランサーワゴン」のボディサイドパネルやルーフサイドパネルなどを結合し、そのうえで各ピラーとルーフ、リアまわりを補強。その他にも、大型リアフロアクロスメンバーの追加や各種の補強材の追加によって、高い剛性をもつワゴンボディを作り上げた。 パワートレインは、ランエボIXと同じ2.0L直4 DOHC(4G63)インタークーラー付ターボMIVECエンジンで、6速MT仕様「GT」が280ps/40.0kgm、5速AT仕様「GT-A」は272ps/35.0kgmを発生。駆動方式は、もちろん4WDだ。 車両価格は、GTが346.5万円、GT-Aは341.25万円と、GTグレードの比較ではセダンより約15万円高い。ランエボ唯一のワゴンということで注目されたが、人気は限定だった。 ・・・・・・ 当時、ステーションワゴンブームはすでに下火になっていた。ランエボワゴンは、それでも変わらず人気を獲得していたステーションワゴンブームのパイオニアだったスバル「レガシィツーリングワゴン」を意識して、スポーティかつハイパワーワゴンとして登場したのだろう。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純