<リオ五輪>ケンブリッジ、山縣はなぜ9秒台を出せなかったのか?
リオ五輪の陸上男子100mの準決勝が14日(日本時間15日)現地で行われたが、日本期待のスプリンター、ケンブリッジ飛鳥(23、ドーム)と山縣亮太(24、セイコー)は共に敗退、決勝進出を果たすことはできなかった。先に2組で走った山縣は、3連覇を達成したウサイン・ボルト(29、ジャマイカ)と同組になったが、スタートでフィッシャー(バーレーン)がフライングが起こすアクシデント。7人での仕切り直しのレースとなって、山縣は、参加選手中最速のリアクションタイム0.109という最高のスタートをきって自己ベストの10秒05を出したが5位で敗退。 3組の7レーンで登場したケンブリッジ飛鳥は、スタートで遅れ、6レーンのアテネ五輪金、ロンドン五輪銅のジャスティン・ガトリン(34、米国)を必死に追うが、得意の後半も伸びずに10秒17で、7人中“最下位”の7位で準決勝敗退となった。 ケンブリッジは、「9秒台に乗せないと決勝は難しいので狙っていく」と挑んだレースだったが、日本人にとって史上初となる9秒台をマークすることはできなかった。山縣もしかりである。 なぜ彼らは9秒台を出すことができなかったのか。 元ロス五輪代表で、現在一般社団法人「TEAM不破」の代表理事として活動中の不破弘樹さんは、「ケンブリッジ選手は、ガトリンが先行するレースに飲み込まれ、ペースを乱し自分のパターンにはめることができなかった。安定感のある山縣選手は、ボルトの存在にも影響されることなく、最高のスタートを切って押し切ろうとしたが、最後の10メートルを粘れなかった。そこが敗因であり9秒台を出せなかった理由」と見ている。 「ケンブリッジ選手のリアクションタイムは決して悪くなかった。ガトリンが前を行くことも想定していただろう。しかし、想定以上に置いていかれたため、焦って、早めに仕掛け、フォームに力みが生まれ、ブレーキがかかり、重要な30メートルから70メートルの中間疾走で流れを作ることができなかった。彼は、これまで中間疾走の流れから、後半の2乗、2乗という爆発力を生み出してきたが、この日は、流れがないので伸びなかった。世界のトップの中で走って伸びること自体、難しいことだが、自分のパターンで走ることができなかった。山縣選手はボルトを含む上位2人が9秒台を出したレースだっただけに9秒台に引っ張られる大きなチャンスだったが、最後に力が残っていなかった」