<リオ五輪>ケンブリッジ、山縣はなぜ9秒台を出せなかったのか?
ケンブリッジのリアクションタイムは0.135で、ガトリンの0.151を上回っていたのだが、30mで置いてけぼりを食らうことで本来のレースマネジメントが狂った。決勝でも、ガトリンは脅威のダッシュでボルトにプレッシャーをかけたが、そういう世界トップクラスのプレッシャーを受ける国際経験が不足していた。それがケンブリッジを慌てさせ、スプリンターとしての未熟さを露呈させることになった。 それでも、不破さんは、4年後の東京五輪に向けて、故障で国内の選考レースを辞退したサニブラウン・ハキーム(17、城西高)、ボルトと同組で走って予選落ちした桐生祥秀(20、東洋大)を含めた4人の争いが9秒台を生み出す環境につながると見ている。 「サニブラウン選手、桐生選手を含めた4人の高いレベルのスプリンターが揃ったことは東京五輪へ向けての好材料。それぞれが課題に取り組むだろうが、私は9秒台に最も近いのはケンブリッジ選手だと見ている。だたケンブリッジ選手は、スタートダッシュを課題にする余り、肝心の後半の強さを失わないように気をつけて欲しい。僕が同じパターンのスプリンターだったのでよく理解できる。重要なのは、中間疾走のレベルアップであり、対応力だ。山縣は、洗練されインテリジェンスのあるスプリンターなので、そのあたりの課題はわかっていると思う。不安なのは桐生選手。彼は正念場だと思うが、追い風参考ながら最初に9秒台の世界を見た選手。4人が切磋琢磨しながら互いにレベルアップしていくことに期待をしたい」 ケンブリッジと山縣は、そろって準決勝後に「手ごたえを感じた」と口にしている。 リオ五輪の経験と反省が、4年後の東京五輪、9秒台突入への大きな布石になるのかもしれない。