親に愛されずに「道具」として育った子は、自分の子どもにも同じことをしてしまう。平安貴族の育児と親子関係とは?【NHK大河『光る君へ』#28】
紫式部を中心に平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第28話が7月21日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。 【画像】NHK大河『光る君へ』#28
『光る君へ』は親と子の関係性を考えるきっかけになる
あどけなかったまひろもついに母となりましたが、本作には複数の親子の関係性が描かれています。平安時代を舞台にしたフィクションだからこそ、私たちが親子の関係性について考え、気づかされることもあると思います。
まひろの子育てはやはり風変り。賢子はどのような娘になるのか?
まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の娘は宣孝(佐々木蔵之介)から「賢子」と名づけられました。この名前にはまひろの子どもゆえに賢くなるという期待が込められています。 本放送にはまひろが我が子のおむつを替えるシーンがありました。乳母(めのと)に「お方様 そのようなことは私がいたしますので」と言われると、まひろは「私もやってみたいの」と笑顔で応じています。 当時、貴族の女性は自分の子どもに乳を与えることもなく、赤ん坊の世話全般が乳母の仕事でした。とはいえ、家計の困窮時には自ら床の雑巾がけをしたり、畑仕事をしたりしていたまひろが、我が子の世話を乳母にすべて委ねる方が意外性があると思います。 まひろが娘に歌う子守歌は彼女らしく、漢詩。赤ん坊を抱きながら「王戎簡要…」と唱える彼女の姿に笑った人も多いはず。まひろは娘に「学問の面白さの分かる姫になってほしい」と思っています。 一方、宣孝は自身の遺伝子が入った娘ではないものの、賢子にデレデレです。娘に向ける眼差しは愛情にあふれているように見えます。彼お得意のお土産はまひろの分だけでなく、賢子の分も追加されるようになりました。 しかし、賢子はまひろと彼女がもっとも愛する道長との間に意図せずにして生まれたという身の上で、心傷つくことも将来的にあるかもしれません。 史実において紫式部の娘・賢子は母親と同じくらい充実した人生を歩んだといわれていますが、本作では賢子はどのように描かれるのだろうか。