阪神・西純矢インタビュー 持ち味は「タフ」 「昨年は同級生の活躍を気にしている場合でないほど、危機感を持っていた」
まずは自分をどうするか
マウンドでの気合は高校時代から変わらない。強気な投球で2ケタ勝利を狙う
2001年生まれのスターは佐々木朗希だけではない。すでに多くの同世代の若者がスターとなっている。ここではそんなライバルたちを紹介していく。まずは高校時代に高校BIG4と呼ばれた1人の西純矢だ。将来の右腕エース候補と言われながらも、投球フォームに苦しんだ2年間だった。今季は自ら作り上げた「新フォーム」で先発ローテーションに入り、2ケタ勝利を目指している。 取材・構成=椎屋博幸 写真=BBM ※5月19日時点 気が付けば高校時代のライバルたちが大活躍を収めていた2021年。周りを見る余裕などなかった。ただ自分自身と向き合う日々。地道に試行錯誤を繰り返しながら自信の持てる投球フォームを手にして2022年に臨んだ。 ──約1年ぶりの一軍のマウンドで、堂々とした投球を披露しました。佐々木朗希投手(ロッテ)などの同級生が活躍していることに刺激を受けていましたか。 西純矢(以下西純) 昨年は宮城(宮城大弥=オリックス)や奥川(奥川恭伸=ヤクルト)たちが活躍していましたが、悔しいとか、励みになるということはまったくなかったんです。むしろ、まずは自分のことをしっかりやらないといけない、という危機感のほうがありました。1勝は挙げましたが、自分の中で自分自身の投球に不安があったんです。 ──チーム内では昨年は及川(及川雅貴)選手も活躍しました。 西純 及川が活躍していても同じ感じでしたね。ずっと投球フォームでいろいろと悩んでいたので、まずはフォームを固めようと。 ──入団以来、いろいろな投手のいいところを参考に取り入れていました。 西純 はい、マエケンさん(前田健太=ツインズ)のフォームなどを参考にしていたのですが、参考にするだけだと、その投手を超えられない、と思ったんです。だから二軍に降格したあとから、元の投球フォームに戻しました。 ──元に戻したのはいつごろですか。 西純 一軍で投げたあと、6月になってからです。一軍で投げさせてもらったときなどは球速が140キロ台しか出なかったこともあったので。それで高校時代に戻して、かなり状態がよかったです。 ──その後、シーズン終盤には、右腕の使い方が、ショートアーム(右腕を小さく回してトップを早くつくる動作)になっていたと思うのですが……。 西純 元のフォームに戻し9月まで調子がよかったんです。球速も152~3キロくらいまで上がっていました。でも、頭打ちがきたんです。ここからもう一つ上に行かないと厳しいな、と感じていたことも、ショートアームを試そうというきっかけになりました。 ──その腕の振りにする要因はスピードアップだけだったのでしょうか。 西純 もともとの僕の課題はコントロールです。思い切り投げると高めに浮いたりする投球だったので、コントロールを安定させるには、トップの位置を「早くつくる」ことだなと。そこでショートアームに取り組んでみました。 ──トップを早くつくることで、コントロールが実際によくなっていました。 西純 そうですね。それと同時に肩への負担が少なくなるのかな、とも思いました。元に戻した投球フォームでは・・・
本文:3,898文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
週刊ベースボール