「怒声、罵声は何も生まない」 野球を再び“好き”に…大阪桐蔭OBが涙した万感卒団式
「日本一愉しく取り組み、大会でも日本一になりたい」
卒団する3年生7人はいずれも、所属していた別のチームをやめて入団してきた選手たちだという。前所属チームをやめた理由はぞれぞれ違うが、「怒声、罵声を浴び、過度のプレッシャーにさらされてきた子が多いです」と謝敷氏は説明する。 「怒声、罵声が何かを生み出す可能性は、ないと思っています。それは指導者の一過性の自己満足でしかない。僕も叱ることはありますが、感情的な言葉とは全然違うと思います」という姿勢はそのまま、チーム方針に結びついている。 「怒声、罵声の代わりに、『なぜ、そういう取り組みになったのか』を一緒に検証しています。たとえて言えば、勉強しない子に『勉強しなさい』と言ってもダメで、どうやったら勉強に取り組んでもらええるのか、というようなことを考えながら、子どもたちがしっかり理解できるようにやってきたつもりです」 その3年生7人は2025年、将来医師になることを目指して勉強に重きを置く1人以外、高校でも野球を続ける予定だという。有名強豪校に進む者もいて、いったん閉じかけた野球人生の扉が再び開いた。卒団イベントで謝敷氏は「3年生のキャプテンがあいさつで『荒木(球団代表)さん、このチームをつくってくださって、ありがとうございました』と言った瞬間、僕は思わず号泣してしまいました」と明かした。 桐生南ポニーに残る現在の2年生には、中学生にして183センチ、107キロの体格を誇る長距離砲をはじめ、有望選手がたくさんいる。謝敷氏は「2025年は、最初の3年計画の最終年にあたります。僕たちは何においても、日本一を目指す野球団でありたい。日本一愉(たの)しく取り組み、大会でも日本一になりたいです」とボルテージを上げる。そして「プロを目指して、志高くやってほしいです」と、自身がかなえられなかった“夢の続き”を見てほしいと願う。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki