夏ではなく、あえて秋に開催…「季節外れの花火大会」が人気を集める意外なワケ
夏の季語にも選ばれている花火は、日本の夏の風物詩。だが、全国には秋や冬に開催される花火大会も存在する。東京サマーランドの第二駐車場を観覧席として、約5000発を打ち上げる東京最大級の「秋川流域花火大会」も、寒い時期に多くの観客を魅了してきた。本大会を主催するまちづくりコンソーシアムの立花晋也理事長に、秋ならではの花火大会の魅力を聞いた。
東京サマーランドとの協力で実現した秋川流域花火大会
2019年にスタートした秋川流域花火大会は、「秋の花火大会」として今年も11月16日に東京サマーランドの駐車場で開催される。 「ただ、最初から秋に開催するつもりはなくて。以前、東京サマーランドさんが開催していた夏の花火大会を復活させて、地域を盛り上げたいと東京サマーランドさんに相談したところ、『継続的に開催してくれるなら全面的に協力します』とありがたいお言葉をいただきました。 それで大きな駐車場をお借りして花火大会を開催することになったのですが、ご存じの通り、東京サマーランドさんは夏場が最盛期です。営業の邪魔になってはいけませんから、比較的、駐車場をお借りしやすい閑散期に開催することになりました」
開催時期は秋川流域の魅力を伝えられる時期に
春や冬ではなく、秋を選んだのにはもちろん理由がある。 「秋川流域の“秋”にかけました。この場所は東京都でありながら自然が豊かな地域です。バーベキュー場や川遊びなど、夏のアクティビティは盛んですが、秋も魅力的な観光地であることはあまり知られていません。 秋には、紅葉も色付きとてもきれいですし、行政が運営する温泉施設や美味しい蕎麦屋さんなど、グルメスポットや観光スポットもたくさんあります。そこで、秋川流域、秋川、紅葉の秋を掛け合わせて毎年11月頃に開催しています」
空気が澄んだ寒い時期だからこそ得られる感動
秋や冬に開催される花火大会には、夏の花火大会とは異なる感動が体験できるのが魅力とのこと。 「花火大会の観覧会場は、山と川の間に位置しています。ロケーションは最高ですし、花火は、夕暮れ時の紅葉の山をバックに打ち上がります。秋の空気はとても澄んでいるので、花火がいつもよりキレイに見えやすいですよ」 秋ならではの味わいがある一方で、現地で観覧する際は注意点もある。 「昼間の気候は秋を感じられて気持ちがいいものの、夜はめちゃくちゃ寒いです……。秋川流域花火大会は今年から全席有料にしていて、高額のSS席にはストーブも用意していますが、ほかのグレードの席にはありません。 会場に来られる場合は、厚着をしたうえで、ブランケットや使い捨てカイロなどを持参することを強くオススメします。防寒さえしていただければ、絶対に満足させる花火のストーリーを作っていますので、ぜひ期待してください」