偽陰性0%達成…JR東日本が10年かけて完成、車両外観検査装置の性能
JR東日本は車両外観検査装置を開発し、山手線の車両基地「東京総合車両センター」(東京都品川区)に導入した。車両の床下機器の取り付け状態や変形などを線路の両側に設置したラインセンサーカメラで自動的に撮影。撮影画像をシステムが解析処理して正常画像と比較し、異常の有無の判定結果を出力する。従来の目視検査から自動化することで検査精度を高め、検査作業の負担を軽減。他の機器への展開も視野に開発を進める。 車両外観検査装置はJR東日本がNECと協力して開発。ラインセンサーカメラ、レーザードップラーセンサー、投光器で構成されており、車両が通過すると、ラインセンサーカメラが撮影し、その画像を編成結合して、画像を補正。正常画像との差分を抽出して異常を判定する。 当初はラインセンサーカメラのみで開発を進めていたが、車体の速度や揺れ、天候で画像のブレなどが生じるため、レーザードップラーセンサーを導入。レーザーで速度を測り、ラインセンサーカメラのシャッターのタイミングを制御することで撮影画像を安定させた。 また、異常判定の閾値(しきいち)の設定についても、手法の検討や検証を繰り返し、異常を見逃す偽陰性は0%、正常を異常と判定する偽陽性も1%未満と高精度のシステムを構築。全体の完成まで約10年かかった。 山手線のE235系は、50編成の車両の目視検査を90日に1回の頻度で実施していたが、装置を導入後、毎日検査が可能となった。JR東日本では状態監視データでメンテナンスするモニタリング保全を進めており、車両の床下機器の検査を自動化。今後、画像による予兆保全(CBM)を、他の機器にも広げるため開発を進める。