ロマチェンコKO勝ちで約3年7カ月ぶり世界王座返り咲き「ウクライナのみなさん、ありがとう」
<プロボクシング:IBF世界ライト級王座決定12回戦>◇12日◇オーストラリア・パース・RACアリーナ 元3団体統一ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(36=ウクライナ)が約3年7カ月ぶりの世界王座返り咲きに成功した。元3団体統一同級王者ジョージ・カンボソスJr.(30=オーストラリア)とのIBF世界同級王座決定戦に臨み、11回2分49秒、TKO勝利。20年10月、テオフィモ・ロペス(米国)との3団体王座統一戦で敗れて王座陥落して以来の世界王座返り咲きとなった。 サウスポーのロマチェンコはカンボソスJr.のボディー攻撃をいなしながら、スピードで上回り、左ストレート、右フックで応戦。手数でも上回ると中盤からプレッシャーをかけて攻撃を続けた。11回に左ボディーアッパーでダウンを追加。立ち上がってきたカンボソスJr.に再び左ボディーを2度ねじ込んだところで、中村勝彦レフェリーのストップ。さらにカンボソス陣営からもタオル投入され、勝負を決めた。 世界戦勝利はアウェーで臨んだ19年8月、ルーク・キャンベル(英国)戦以来、実に約4年9カ月ぶりだった。手で目頭を押さえたロマチェンコは「まず神、イエス・キリストに感謝します。そしてジョージ、チームのみんなありがとう。強力なチームだった。私の父、コーチみんな、家族、友人みんなに感謝します。ウクライナのみなさん、ありがとうございます。今日はまた世界王者になれた。父にささげる世界王座だ。彼が私をここまで鍛え上げてくれた。次は母国に帰り、家族との時間を過ごしたい」と感慨深く口にした。 ウクライナのサウスポーは08年北京、12年ロンドン両五輪で2連覇し、プロ転向後には世界最速となる3階級制覇も成し遂げ「ハイテク(精密機械)」と呼ばれた。しかし20年10月、テオフィモ・ロペス(米国)との3団体王座統一戦で敗れて王座陥落した後、古傷の右肩を手術。22年2月にロシア侵攻を受けた母国のため。領土防衛隊に参加し、リングから遠ざかった。今回は昨年5月、当時の4団体統一同級王者デビン・ヘイニー(25=米国)に判定負けして以来、約1年ぶりの再起戦で再び「世界一」の称号を取り戻した。