球磨川・遥拝頭首工、取水確保にめど 仮設物で水位上げる工事完了 九州農政局、八代市で説明
九州農政局は14日、3月と5月末の大雨で被災した球磨川の取水施設「遥拝頭首工[ようはいとうしゅこう]」(八代市)で、水位を上げるための仮設物の復旧工事が完了したと発表した。取水量が減少し農業用水などの供給が不安定になっていたが、「自然取水が可能となり、平年並みの水量に戻りつつある」としている。 農政局は今月2日から、使用不能になったゲートの代わりに水をせき止めるため、土のうを入れた仮設物を河川に積み上げる工事を進めていた。被災後はポンプで川の水をくみ上げて用水路に流すなどしていたが、14日午前に工事が完了し、自然取水にほぼ切り替えることができたという。 農業用水の取水量は右岸で平年の9割強、左岸は平年並みに回復。右岸から取水している上水・工業用水も平年並みに戻ったとしている。 仮設物は大雨時に上流が浸水しないよう、一定の流量で流失する設計になっている。このため、再び大雨が降って仮設物が流されても水の確保に支障が出ないよう、右岸取水口のポンプを増やす。また、右岸下流に取水用の鋼管を新たに設置する。このため、右岸側の県道を6月末ごろまで通行止めにする。
この日、八代市の八代平野北部土地改良区事務所で、農政局が企業や漁協など22団体に報告した。同土地改良区の入江健二専務理事は「一部地区では日替わりでの取水が続いていた。平年並みに取水できるめどが立ち、ほっとした」と話した。(河内正一郎)