〝事件は現場で起きてるけど…〟令和の刑事ドラマ「大川と小川の休日捜査」が面白い【ゆるい】【往年の2時間ドラマ】【孤独じゃないグルメ】
◆昔の「2時間ドラマ」っぽさ
また有給休暇を使って現場に行かないという斬新で今風なキャラクターなのに、どこか懐かしさを感じさせるのは昔の「2時間ドラマ」っぽいからだろうか。刑事の助けを必要とするヒロイン(今回は比嘉愛未)が冒頭から登場し、ちゃんと〝怪しい人〟が続々出てくる。特にレストランオーナー(山西惇)が何故かコーヒーのおかわりを聞きにくるだけのシーンは「絶対こいつ何かある!」と思わせ、まんまと犯人探しにのめりこませるうまさがある。 そして事件内容は過去の親の死が発端という定番パターン。最後には、犯人が取調室で全部自白して回想シーンで事件解決という流れだ。役者の演技力が光る独白シーンは見ごたえがあり、分かりやすさと観やすさを兼ねそろえている。
◆とにかくおいしそうな食事シーン
特出すべきは、ごはんのシーン。シングルファザーの大川の家で、料理男子の小川が振る舞うというのがこのシリーズの名物になっている。今回はキャンプ場でパエリア、自宅で肉じゃが、他にも山で暮らすおじさん(ベンガル)の鍋、ヒロインのリゾットと食事シーンが盛りだくさんで、事件には関係ないのにとにかく美味しそうなのだ。「きのう何食べた?season2」(2023年、テレビ東京)で監督を務めた松本佳奈の演出だからだろうか? 食事が丁寧に描かれていると、キャラクターを身近に感じ、団欒シーンで和むことが出来る。 こんな風に決して熱血じゃない大川と小川だが、そんな2人だからこそ最後には〝休日返上〟で事件捜査する姿に〝刑事魂〟を強く見た気がした。 ドラマは「ネットもテレ東」などで23日まで配信されている。
西日本新聞社